とある店先でアイビーの鉢植えに目が留まった。
鉢カバーの大きさは、大人二人がかりで持ち上げられるかどうかというほど大きいもので、
壁を覆うように蔓を伸ばしたそれとはまた異なる存在感を解き放っていた。
アイビーと呼ばれる植物はとにかく種類が豊富で、
ひと目見たくらいでは、それがアイビーだと気付かないくらいの姿にまで改良されたものもある。
寒い冬を越えられるだけの強さを持ち、鉢植えでも水耕栽培でも育つため、ズボラさんでも育てやすく、
見た目も可愛らしいものから、シックなものまであるため、観葉植物としての人気も高い。
しかし、例外というものも必ず存在する。
私も、何度か観葉植物として迎え入れたことがあるのだけれど、私とは相性がいまひとつ噛み合わず、すぐに枯れてしまうため、
私にとってのアイビーは、外で眺めて楽しむ植物という位置づけになっている。
単純に、私の育て方に問題があるのだろうけれど、
観葉植物と人との間にも、相性のようなものがあるのではないかと、密かに思っていたりする。
その日は、カフェの店先をおしゃれに演出していたアイビーに惹かれ、店内に入ることにした。
中途半端な時間だったこともあり、店内はほぼ貸し切り状態。
夏の気怠さを、ゆっくりと癒すには十分すぎるくらいの空間だった。
テーブルの上には、外に置いてあったアイビーをカットしたものが、小さな一輪挿しに生けられていた。
緑の葉の縁を白で囲った葉先は、丸みを帯びており、優しい雰囲気のアイビーだ。
以前、丸い葉先のものは“雪ほたる”という品種だと教えていただいたことを思い出し、
使わなくなったマグカップの中に、雪ほたるをポットごと入れても素敵だろうと思いながら、アイスティーを口に運んだ。
アイビーはウェディングアイテムの素材としても人気があるグリーンだ。
使われる理由は多々あるのだけれど、花言葉に「永遠の愛」「結婚」「友情」「誠実」「夫婦愛」などを持っていることも理由のひとつであるように思う。
しかし、花言葉にも色々とあり、アイビーには「死んでも離れない」という花言葉もある。
これを、怖い花言葉として取り上げられてしまうことがあるため、
こちらを先に知ってしまった方の中には、呪いのようなイメージが湧くのか、
使うシーンによっては、アイビーを避ける方もいる。
私の中では、「死してもなお、離れたくないほどの永遠の愛」ということだろうと解釈しているのだけれど。
アイビーを目にする機会がありましたら、今回のお話をチラリと思い出していただき、
花言葉と一緒にアイビーをお楽しみいただけましたら幸いです。
もちろん、怖いものとしてではなく、温かく愛があるものとしてお楽しみくださいませ。
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/