先日、あるショッピングサイトからメールが届いた。
知らぬ間に貯まっていたらしいポイントの有効期限切れが迫っているため、
この機会に、何かしらの品物に交換してはどうかというメールだった。
取り立てて言うほど貯まってはいないだろうと思いつつも、メールに促されるようにして個人ページにアクセスしてみると、
思いの外貯まっていたこともあり、眠る時間を少し削って、交換していただけるという品々を見てみることにした。
深夜のテレビに流れる、外国人の方の身ぶり手振りに大げさな吹き替えが付いたテレビショッピングを無駄に眺めてしまうときの、あの感じに似ていると思った。
これは、ネットサーフィンの罠である。
分かってはいるけれど、こうなってしまっては止められない。
静かな部屋に、マウスをクリックするカチッ、カチッという音が静かに響いた。
交換していただける品々の中には、募金なども用意されていた。
その中で興味深かったのは、既に受付を終了していたけれど、語り部活動を支援するための募金だ。
文字に起こされぬまま語り継がれてきた神話や民話、その土地の歴史などを、
人生の大先輩たちから聴かせてもらう環境やシステムを整え、運営している方たちを支援するというものだ。
その活動内容を読んでいて思い出したことがある。
随分と前に、新聞か何かで「記憶の銀行」というものがあることを知った。
これは、イタリアの若者たちが立ちあげたプロジェクトで、
人生の大先輩たちが知っている昔話を動画で撮影し、インターネット上に公開するというものだった。
少しずつイタリア以外の国にも広がり、日本でも活動が始まったのだ。
大切なことが語り継がれぬまま消えていく状況を、
現代ツールを使って直接伝えていくのとは異なるのだけれど、語り継いでいくというものだ。
その存在のことを、すっかり忘れていたのだけれど、
今回、そのプロジェクトを改めて探してみると、活動は今も続けられていることが分かった。
そして、その活動は、私が初めて知った当時よりも、より確かな形になっているような印象を受けた。
大先輩方の経験や知恵は、こうして世界中の人と共有できる時代、共有する時代になっているようだ。
結局、記憶の銀行に気持ちを奪われて、交換の品を選び損ねた真夜中である。
※「記憶の銀行」をのぞいてみたい方は、世界ver.日本ver.お好きな方を下記からどうぞ。
関連リンク:
↓こちらが日本ver.
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