いつもの道を歩いていると、何かがつま先に当たった。
それは、かちっと乾いた音を立て、前方へ真直ぐ転がって行った。
幸い、人の通りは少なく、丸い何かがただただ転がっていく様子を目で追いながら、私も前方方向へ、真直ぐと歩いた。
10メートルには満たない程度の先で、丸い何かは動きを止めた。
特別気になった訳ではないのだけれど、“道すがらのついで”で、“追い抜きのついで”だった私は、その正体を確認しようと視線を丸いそれに向けた。
正体は、どこにでも転がってる松ぼっくり(松かさ)だった。
この時季はクリスマスリースやクリスマスオーナメントにも使われており、目にする機会が増えるけれど、
使い方ひとつで、いくつもの魅力的な表情を見せてくれる、あの独特な形状は、
自然界のアート作品の中では、割と手の込んだ仕上がりのように思う。
いつだっただろうか。偶然目にしたテレビ番組で、何方が、
近年の松ぼっくり(松かさ)、は山の中よりも街中の方が見つけやすいとおっしゃっていた。
秋冬の山中では枯れ葉や枯れ枝などに埋もれたり、同化してしまったりして、その姿が目に留まりにくいのだそうだ。
一方、街中であればアスファルトの上にコロンと転がっているので、割と簡単に目に留まるのだという。
そう言えば、自然に囲まれた贅沢な環境に身を置いているわけではないけれど、
この時季は、松ぼっくり(松かさ)をよく目にしていることに気が付き、なるほどと思った。
そしてワタクシ、このテレビ番組を見るまで松ぼっくり(松かさ)は秋のものだと思っていたのだけれど、そうとは限らないということを知ったのだ。
松ぼっくり(松かさ)は、春に花を咲かせるのだけれど、
花が咲き終わった後は、時間をかけて松ぼっくりになるのだそう。
しかし、松ぼっくりの姿が出来上がったからと言って、すぐに木から落ちるのではなく、
お天気によって、ヒダを開いたり閉じたりさせながら、中にある種を飛ばし、
タイミングが来たときに木からぽろりと落ちるというのだ。
だから、松ぼっくり(松かさ)が落ちる時季というものは決まっているわけでは無く、年中、落ちているもの、とのこと。
多少、松の木の種類によって違いはあるのだろうけれど、
意識していると、一年中街中で道の隅に転がる松ぼっくりを見つけることができるのだ。
秋らしい風貌でありながら、意外と我が道を行くタイプ、それが松ぼっくり(松かさ)である。
そのようなマイペースさ、良いじゃない!!
松ぼっくり(松かさ)を見つける度に、そのようなことを思うのであった。
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