学校の制服を取り扱っている制服販売店のショウウィンドウに飾られていた制服が、いつの間にか夏物に衣替えしていることに気が付いた。
制服の着用が義務付けられていた頃は私服で過ごすことに憧れ、私服で過ごすことが当たり前になると制服の以外な良さに気付いたりもした頃のことを懐かしく思った。
私は学生の頃に、学校の制服がリニューアルするという経験をしたことがある。
新入生は新しい制服を身に纏い、上級生は前モデルの制服を身に纏っていたため、一つの学校内に2種類の制服を着た生徒たちが居るという状況で数年を過ごした。
私は新しい制服を身に纏っており、それはそれで気分が上がりはしたのだけれど、隣の芝生は青く見えたのか、
上級生たちが纏っている制服姿が妙に大人っぽく見え、前モデルの制服を心の隅で羨ましくも思っていた。
制服と言えば、様々なデザインタイプのものがあるけれどセーラータイプの制服は、イギリス海軍の、水兵の制服が日本に入ってきたことが始まりだという。
どのような経緯で女子学生の制服になったのか、その辺りの話は忘れてしまったのだけれど、セーラー服の特徴でもある大きな襟に関する話が幾つか記憶に残っているので、
今回はそのようなお話を少し、と思っております。
ご興味ありましたら、色々と突っ込みながらお付き合いいただけたらと思います。
もともと水兵の制服ということなので、航海中にも着用しているものなのですが、あの大きな襟には、人の声を聞き取りやすくする目的で使われることがあったのだとか。
例えば、風が強い日、激しく雨が降っている時などに、大きな襟の端を両手で掴んで、グイっと持ち上げるようにして頭の後ろに広げることで、人の声をキャッチしやすく、聞き取りやすくなる。
という説があると言うのだけれど、私はこれを知った時、話を一緒に聞いていた友人たちと共に、大変失礼ながら大笑いしてしまったのだ。
そんな漫画のようなことがあるのだろうか、と。
この話を聞いたときには既に制服とは無縁になっていたこともあり、実際に試したことはないのだけれど、
耳の後ろに手を添えるとき、ほんの少し周りの音の聞こえ方が変わることを思うと、この説も至極真面目な説なのではないかと、遅れ馳せながら思い始めたこの頃である。
そしてもう一つ。
自由に入浴することができない船上生活を送っている水兵たちは、束ねられた髪の毛の汚れが背中についてしまうことを防ぐためにスカーフを巻いていたという。
しかし、毎日スカーフを巻くのも面倒だということから、制服にスカーフのような役割を担ってくれる大きな襟を付けたのだとか。
確かに毎日スカーフを巻く手間は省くことができるけれど、大きな襟部分が汚れることに変わりはなく、洗濯も頻繁にできなかったであろうことを想像すると、
簡単に取り外しができ、少量の水で洗うことができるスカーフを使う方が何かと便利だったのではないだろうかと、勝手なことを思ったりもする。
本当のところは分からないと締め括られることが多いこれらの説だけれど、事実は小説よりも奇なりと申します。
いつか驚きの新事実を見聞きするその日まで、色々と突っ込みながら、これらの説を温めておこうかと思うこの頃でございます。
セーラー服を目にする機会がありましたら、チラリと思い出していただけましたら幸いです。
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