ズボラなりに少しずつ年末の大掃除を始めた。
月末にまとめて一気に仕上げるスタイルを止めてから、既に何年も経っているのだけれど、未だに、師走に突入すると目に見えぬプレッシャーに急かされるように思う。
現実は、私のことを誰も急かしていないというのに、自分で作り上げた魔物のようなものに急かされるのだから厄介である。
この日は、一番大きなベランダを一掃すべく外へ出て、私の心強い相棒である高圧洗浄機をセットした。
この手の文明の利器はありがたくて大好きなのだけれど、これはこれで細心の注意を払わなければ、洗った部分に破損や劣化を招くこともあり「一筋縄ではいかぬのか……」と思うことも往々にして。
食器洗い専用洗剤を薄めた水を窓へ向けて解き放つと、窓に薄っすらと付着していた汚れがみるみるうちに落ちていく。
この眺めはいつ目にしても爽快である。
跳ね返ってくる細かい水しぶきを全身で受け止めながら、日本には古い木造建造物 (日本家屋、寺社仏閣、白木など)を専門に洗う「洗い屋」と呼ばれる職業があることを思い出した。
私は、彼らの存在や技を実際に目にしたことはないのだけれど、いつぞやかに読んだ雑誌か小説だったと記憶しているのだけれど、その類の読み物で知った職業である。
洗い屋は、私のように高圧洗浄機や市販洗剤などは使わずに、伝統的な技と道具を使って木造の歴史的建造物の汚れを落とすという。
使用している洗剤は、藁を燃やして作った灰を水に浸して作るところから始め、汚れを落とすための道具は、天然素材を使って一から作られたものだという。
これらと洗い屋の技を使って、歴史的建造物の美しさや色、風合いを保ちつつ、建造物が洗浄によるダメージを受けぬよう洗うそうだ。
もっと分かり易く言うならば「木」を使って作られたものを洗うプロ集団ということである。
日本にある古い寺社仏閣は、洗い屋をはじめとする多くの伝統技術が結集したものだという視点で眺めてみると、また歴史とは異なる視点から興味深く触れることができるように思う。
目にしたことがない洗い屋と呼ばれるプロ集団を想像していたら手元が狂い、足元の泥汚れが私目掛けて飛んできた。
泥は水に溶けないため、洗うのが大変という印象を与える汚れなのだけれど、私のようなうっかり泥汚れは、文房具のスティックのりで落とすことも可能だ。
育ち盛りのお子さんがいらっしゃるご家庭では泥汚れに強い洗剤などを常備していることもあるけれど、そうでない場合は慌てずに、スティックのりのご用意を。
【1】まずは、泥汚れを乾かして不要になった歯ブラシなどを使って繊維の奥に入り込んだ泥をかき出し、
【2】次に、スティックのり(※できれば、色が付いていないものを)を泥が付いた部分に丁寧に塗り込んで10分程おく。
【3】後は、普段通りのお洗濯をすると、泥汚れがスティックのりにくっついて繊維から取り除かれるので、きれいになるという仕組みだ。
泥汚れを落とす方法は他にも多々あるのだけれど、雨の日の泥はねなどにも使うことができるので、泥汚れの洗剤を常備していないときの方法として、頭の片隅に忍ばせておいても損はないように思う。
この日、洗い屋のような仕上がりではないのだろうけれど、すっきりきれいに洗い上げたベランダは水滴に陽射しが反射して清々しく、最後のひと月を過ごす力が湧いてくるような気がした。
早いもので、今年最後の月となりました。
それぞれの場所で、それぞれがやるべきことを、焦らずに、目の前のことからひとつずつ丁寧にまいりましょ☆彡
今日も良き日となりますように☆彡
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