その日の私は体の中をすっきりとさせたくて半身浴をすることにした。
浴室にキャンドルを持ち込んで、好きな香りのオイルを入れた湯船に浸かってしっかりと汗を出す。
スッキリ感やお肌のしっとり感もいいのだけれど、私は、体が芯からポカポカになることの方が嬉しいのだ。
浴室から出ても「熱い」と感じられる事にニンマリしながら、普段よりも薄着でのんびりと過ごせる幸せに浸っていた。
しかし、調子に乗って薄着で過ごした結果、湯冷めしてしまった。
自業自得なのだけれど、数時間後、喉の奥がイガイガしはじめた。
あんなにポカポカだったのに、と冷えた体をさすりながら私は「はちみつ大根」を作るためにキッチンに立った。
私はあまり風邪をひかない。
いや、ひきそうにはなるのだけれど、気合と民間療法で乗り切っていると言う方が正しいような気も。
市販の風邪薬を飲んでしまえばいいのだろうけれど、
どうも私の体には薬が効きすぎるようで、決められた用量を飲むと風邪が治る変わりに副作用が出てしまうのだ。
だから、喉の痛みや症状が出ているときには決まって「はちみつ大根」に頼っている。
はちみつ大根は江戸時代にはあったそうで、風邪薬として飲まれていたという。
のど飴を舐めすぎてしまうと舌がザラザラしてしまいまうし、
飴の糖分でお腹がいっぱいになって食事も美味しくない。
小さなお子さんや妊娠中の方はお薬を飲めないこともあるし、
うっかり風邪薬やトローチなどを切らしてしまっている時だってある。
他にも、風邪薬を飲むほどの症状ではないけれど、嫌な予感がすることも。
そのような時には「はちみつ大根」を試してみてはいかがだろうか。
【作り方】
(1)5センチほどの長さにカットした大根の皮を剥き、5ミリ~1センチサイズの角切り、銀杏切りにします。切り方はお好みで。
(2)保存用器か深さのあるお皿に大根を入れ、はちみつを回しかけます。大根から水分が出てくるので、はちみつはヒタヒタに入れずに、よく絡める程度入れてください。
(3)保存用器に蓋をし(お皿の場合はラップ)、冷蔵庫で1~2時間ねかせれば出来上がり。
【飲み方】
時間が経つと大根から水分が出てきます。
はちみつと混ざって大根シロップができますので、このシロップをスプーンで数杯、
朝、昼、晩、喉に膜をはるようなイメージでゆっくり飲むだけです。
もちろん大根も食べられます。
大根シロップは、ハチミツの甘さの中に大根の苦みが少し残っていますが、
お子さまでも気にならずに飲めるくらいの苦みです。
もし、苦い!!!と思われた方は、「良薬口に苦し」だと思ってください。
【残ってしまったら?】
お薬ではありませんから安心して最後まで召し上がってください。
シロップは飲み物やヨーグルトに入れても美味しいですし、お料理に使ってしまってもいいでしょう。
大根は治まった症状がぶり返さない様に滋養食として召し上がってくださいね。
【注意】
妊婦さんや子どもも飲んだり、食べたりできる「はちみつ大根」ですが、はちみつを使用していますので、1才未満の乳児には与えないようにしてくださいませ。
江戸時代には既に風邪薬として使われていた「はちみつ大根」。
現代では、大根には消炎作用がある成分が含まれていることが知られており、
はちみつの抗菌作用は抗生物質よりも優れているという研究結果も発表されている。
古の人たちは実験や研究の結果がわかる前から、大根とはちみつを組み合わせた効能に気づき、
それを生活の知恵として取り入れていたのですから驚きだ。
調子にのってしまった代償として私の元へやってきた喉のイガイガは、
はちみつ大根のおかげで、翌朝にはすっかり治まっていた。
皆さんも咳や喉の痛みが忍び寄って来たら、先人たちの知恵をお試ししてみてはいかがでしょうか。
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