知人が「母は、辛い物好きだから血圧が低いのかな」と言った。
辛い物好きは血圧が低くなるのかと聞き返すと、何かのニュースでそのような事を見聞きしたと返ってきた。
私は、辛い物も甘いものも、それなりに楽しめるけれど、どちらかと言えば辛いものの方が得意で、血圧がとても低い。
自分の状態が、知人が見聞きしたという情報に当てはまっていたこともあり、
改めて、そのニュースの出所を探すと、中国で行われた減塩に関する研究結果であることが分かった。
塩分の過剰摂取は、高血圧や心臓疾患、脳卒中などのリスクが高まると言われているため、
各国で様々な減塩の研究が行われている。
辛い物好きは血圧が低くなるという研究結果を発表した中国の研究チームは、
減塩の研究をするにあたり、唐辛子に含まれているカプサイシンという辛み成分には、
塩分を感じやすくさせる働きがあるという報告に注目したのだそう。
カプサイシンを含んでいる辛い物を食べれば、通常よりも塩分をしっかりと感じられるため、
減塩の食べ物でも十分に満足感を得られ、長い目で見ると、塩分摂取量を減らすことができ、
高血圧や心臓疾患、脳卒中などのリスクを抑えられるのではないかと考えたのだそう。
そして、研究対象者を「辛味好き」「普通」「辛味嫌い」という3チームに分け、
1日に摂取している塩分量と血圧を測定し、データを収集した結果、
辛いものが好きだという人は、辛いものが嫌いだという人よりも塩分の摂取量が少なく、血圧も低かったのだそう。
また、対象者に唐辛子を使った料理、または通常の料理のいずれかを食べてもらい、脳内の反応を調べたところ、
辛味成分であるカプサイシンを摂取したときに脳が活性化する部分と、
塩分を摂ったときに脳が活性化する部分が同じだということも分かったのそう。
この結果だけを見ると、辛いものを食べると、塩分を多く含むものを食べたいという欲求が弱まり、
結果として塩分摂取量が抑えられるとも見えるけれど、
だからと言って、辛い物ばかりを食べることが健康でいることに直結すると言い切ることは、
現時点ではできないため、改めて確認が必要だというようなニュースであった。
まだ研究途中の内容ではあるけれど、程よく取り入れることは出来るように思う。
というのは、私も減塩メニューの食事療法を齧ったことがあるのだけれど、
塩分過多の味付けに慣れきってしまっている私たち舌は、
塩分をほんの少し減らしただけでも、味に物足りなさを感じてしまうようになっている。
塩分を控えていると思っていても、1日の適正量を知り、その範囲内で調理をしてみると、
日頃の食事に含まれている塩分量に驚かされるのだ。
もちろん、食事療法などが必要でない状態であれば過敏になる必要はないのだけれど、
減塩レシピで満足できない舌を納得させるには、
スパイスやダシを効かせることがポイントになるということだった。
試しにこのポイントを押さえて実践してみたところ、
何も考えずに食べたい味付けレシピで作ったメニューと、
食事療法という視点で味付けをした減塩レシピメニューを食べ比べると、
やはり後者には物足りなさを感じるのだけれど、
スパイスや旨味成分であるダシをしっかりと効かせると、物足りなさをカバーできると実感できた。
このようなことを通して見ると、
辛み成分であるカプサイシンだけを集中的に摂るというのは体質や好みによって、
取り入れられない場合もあるけれど、この視点だけ拝借し、
様々なスパイスやダシを効かせることで減塩を気遣うことは出来るように思う。
塩分の控え方はひとつではないし、
摂り過ぎた塩分を体から排出する栄養素を積極的に摂ることでバランスを取ることもできる。
体を健やかに保つ方法は、思っているよりも多いのだ。
日本食は塩分が多いと言われているけれど、薬味という名のスパイスが豊富で
私たちには、繊細なダシを味わうことができる味覚もある。
味付けの好みによって感じ方にも多少の差は生まれるけれど、
塩分を控えたいけれど、塩分を控えたレシピでは満足感が得られないという方は、
薬味やダシをいつもよりしっかりと使うことを意識してみると、
食事を楽しみながら、健やかさに繋がる何かしらのヒントを掴めるのではないだろうかと思う。
知人の発言から、辛い物好きは血圧が低いという研究結果があることを知ったけれど、
世の中には、様々な研究をしている人たちがいるものだなと感心した話題でもあった。
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