幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

彼らが見せてくれた光景と共に私の中に定着したもの。

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外出する度に視界に映り込む紫陽花に癒される季節がやってきた。

アジサイと言えば「紫陽花」という漢字が使われているけれど、本来「紫陽花」は、ライラックを意味するのだとか。

この名が中国から日本に入ってきた当時、その道の専門家がライラックではなく誤ってアジサイにこの漢字を使ったことから、日本では「紫陽花」と記しているという説がある。

話題に事欠かない紫陽花を前に、今年は何色の紫陽花を飾ろうかと、ワクワクしっぱなしである。

一番好きなブルーの紫陽花にするか、インテリアに馴染む落ち着いたグリーンとホワイトの紫陽花をミックスするか悩んでいるのだけれど、

世の中に在る悩みというものが、全てこのような悩みであれば、悩みに対してもう少し大らかでいられるのに。

そのようなことを思いながら、毎年素敵な花を咲かせる紫陽花の前を通った。

梅雨入りしたはずなのだけれど、その日の空には燦々と輝く太陽が鎮座しており、雨に濡れる紫陽花を恋しいと思った。

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雨を待っていたからだろうか、久しぶりに「朝雨は女の腕まくり」ということわざに出会った。

偶然居合わせた大学生らしき男性が数人で、どんな意味?とスマートフォンを覗き込んでいたのだ。

私自身、久しぶりに耳にしたのだけれど、意味に関してはうろ覚えだったこともあり、何となく意識が彼らに引っ張られていた。

すると、スマートフォンを手にした青年が意味を読み上げはじめた。

「女性が、腕まくりをして怒っても怖くないように、朝に降りはじめた雨はすぐに止んでしまうので、少しも恐れることはないって意味だって」と。

あぁ、そういう意味だったなと思うや否や、彼らが一斉に口を開いたのだ。

「いやいやいやいや、怖いって。怖いでしょ。これ、意味が違うんじゃないの」と。

あまりにも何度も言葉の意味と感想を口々に発するものだから、彼らをぽつぽつと囲むようにして立っていた女性たちがチラリ、チラリと視線を彼らに向け、状況を理解したようだった。

しかし、自分たちの周りに立っている女性たちを刺激していることに気付かぬ彼らは、各々のイマジネーションを膨らませ合いながら増々盛り上がりを見せていた。

もうこの時点で、ことわざの意味に彼らの意識は無い。

その光景を眺めていた私には彼らが5歳児の少年のように見え、思わず吹き出しそうになってしまった。

今日もこうして、うろ覚えだった言葉が私の中に定着していく。

一期一会の彼らが見せてくれた光景と共に。

雨が恋しいこんな日は、雨をまとう言葉を思い出してみるのも乙なものである。

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