開け放っていた窓から流れ込む風が心地良かったものだから、夕涼みでもと飲み物を手に外へ出た。
しかし、現実は昼間の暑さが辺りに漂い残っており、ガーデンチェアに座っていると、じんわりと汗が騒ぎ出しそうで、思わず手にしていたレモン水をゴクゴクと体に流し込んだ。
外気に温められかけた体からスーッと熱が引き、夕涼み感復活といったところである。
あっという間に薄れてゆく夕涼みの中、淡い水色が残る空の奥が淡いピンクに染まる初夏の夕焼け空を眺めていると、遠くに虹がかかっていることに気が付いた。
最近目にした虹の中では、1位、2位を争うくらいの大きな虹だった。
私が好きな言葉、ことわざに「朝虹は雨、夕虹は晴れ」というものがある。
大層な意味でも含まれているのだろうかと期待する方もいらっしゃるかもしれないのだけれど、これは天気予報代わりにできることわざで、
「朝虹は雨、夕虹は晴れ」とは、「朝に虹がかかっていたら後で雨が降る、夕方に虹がかかっていたら翌日は晴れる」という言葉通りの意味である。
地球の動きから西から東へと変わるお天気の性質をもとにして虹を見ると、
朝にかかる虹は西の方角に雨が降っていることを知らせており、
夕方にかかる虹は東の方角に雨が降っていて西の方角は晴れていることを知らせているため、
この「朝虹は雨、夕虹は晴れ」ということわざは、素敵な景色を想像させるだけでなく、なかなか頼りになるものなのだ。
他にも、似たような意味を含んでいる「朝虹に傘忘るな」や「朝虹雨のもと、夕虹日照りのもと」といったことわざもある。
シンプルに「朝虹に傘忘るな」と覚えておくもよし、自分好みの景色イメージとともに「朝虹は雨、夕虹は晴れ」と覚えるもよし、お料理レシピ風に「朝虹雨のもと、夕虹日照りのもと」と覚えるのも面白いかと。
身近な知恵のひとつとして、自分好みのことわざを楽しんでみるのはいかがでしょうか。
虹を目にする機会がありましたら、今回のお話をちらりと思い出していただけましたら幸いです。
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/