こんなに美味しいセロリラブのピュレは久しぶり!
そう言いながらフォークを持つ手をお皿に伸ばしたところで目が覚めた。
この春、4年ほどの海外生活を終えて帰国した友人とセロリラブの話をしたからだろう。
セロリラブは、根セロリ、セロリアークと呼ばれることもあるセリ科の野菜で、私たちが良く知る茎セロリの仲間ではあるのだけれど、全く別物である。
古から地中海辺りで栽培されており、ヨーロッパではジャガイモやニンジンと同じくらい馴染みある野菜だ。
その姿はカブのように丸くて表面はゴツゴツとしており、重さは500gから1キロ前後といったところ。
カブのようにとは言ったけれど重量からも想像できるとおり、漬物石ほどの大きさをしている。
また、とても固いため包丁でカットする際にはカボチャをカットするときのような注意が必要だ。
香りにはセロリ特有の爽やかさがあるけれど、味はセロリよりも柔らかく、セロリ嫌いの方でも美味しく食べられることが多い。
食感はシャキシャキとした歯ごたえがあり、皮を剥いて千切りにしたものを生のままサラダとして食べても美味しいけれど、煮込み料理やスープの具材にも使うことができる万能野菜だ。
このセロリラブ(根セロリ/セロリアーク)にはデンプン質が含まれているため、ジャガイモと一緒に煮たものを潰し、バターと生クリームを加えてピュレ(マッシュセロリラブ)にしても美味しいし、
これをお好きな出し汁と牛乳で伸ばして塩、胡椒で味を調えてスープにするのもいい。
セロリラブ(根セロリ/セロリアーク)は、あのセロリの仲間というだけあってセロリの風味は感じるのだけれど、セロリとは別物といった不思議な美味しさで人を夢中にさせる野菜である。
私はスーパーなどでよく見かけてはいたものの、そのゴツゴツとした見た目の印象から手を伸ばさずにいた野菜なのだけれど、
知人宅でご馳走になったお肉料理の付け合わせに添えられていたセロリラブのピュレ(マッシュセロリラブ)に感動し、覚えた野菜である。
帰国後、日本でもあの味をと思い探してみたのだけれど日本で栽培されているものは極僅かで、そのほとんどがレストランで使われているのだと知った。
そして何より驚いたのは、その価格である。
あれほど身近だった食材が日本では高級食材だと知り、いつの間にかセロリラブ(根セロリ/セロリアーク)は私の中で、幻の食材となった。
あれから随分と年月が経ち、セロリラブ(根セロリ/セロリアーク)の存在を忘れてしまっていた私にヨーロッパから帰国した友人が言ったのだ。
「セロリラブって日本で買うと、こんなに高いの?もっと食べてくればよかった。」と。
この友人、大のセロリ嫌いなのだけれどセロリラブの魔法にかかった一人である。
友人との会話で、あの味を思い出してしまった私は、どうしても食べたかったのだろう。
夢の中でセロリラブ(根セロリ/セロリアーク)に手を伸ばしていた。
セロリ嫌いではないけれど、私もセロリラブの魔法にかかった一人ということなのだろう。
いや、再びかけられてしまったのかもしれない。
日本では時々、セロリラブ、根セロリ、セロリアークという名で、レストランのメニューに登場することがあります。
機会がありました際には、セロリラブの魔法にかかってみてはいかがでしょうか。
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