先日、久しぶりに小雨がパラパラと降っておりました。
この時期の雨は、どこか柔らかい空気を含んでいて、ほんの少し暖かく感じられる気がいたします。
出かける気にはなれなかったのだけれども、なんとなく雨を感じていたい気分になりました。
私は、温かい抹茶ミルクが注がれたマグカップ片手に
雨のにおいに誘われてベランダでお茶をすることにしました。
幸いにも雨はベランダには届いておらず、ガーデンチェアーもカラリ乾いておりました。
ブルーグレーがかった空を見上げると、
落ちてくる雨粒が潔いまでに垂直な軌道を描きながら落ちてきていて、
雨の日もいいものだな、と思ったりもして。
頭の中を空っぽにして、ほんのり甘い抹茶ミルクを味わっていると、
ふと、「てるてる坊主」の歌を思い出したのです。
『てるてる坊主 てる坊主♪ あした天気にしておくれ♪いつかの夢の空のよに♪ 晴れたら金の鈴あげよ♪♪』
皆さんもご存知の、あの「てるてる坊主」です。
あの歌、実は怖い歌詞が続いているという事、怖い言い伝えがあることをご存知でしょうか?
梅雨の足音が聞こえてくる前に、今回はそのようなお話を少し。
最近は「てるてる坊主」を作ったことがないというお子さんもいらっしゃるようなのですが、
私は子どもの頃に何度か作った経験があります。
この、てるてる坊主で晴れを祈る習わしは、平安時代に中国から伝わったものです。
中国でどのようにして生まれた習わしなのかと言いますと、このようなお話が残されています。
中国では昔々、雨が続き困っていたことがあったのだそう。
国民が雨に困り果てていたとき天からこのような事が聞こえたのだと言います。
「その美しい少女を天に差し出せば晴れにする。
しかし、少女を差し出さないのであれば都を水没させるぞ」と。
その美しい少女は国民を国を大雨から救うために一人犠牲になり天に昇ったのです。
すると、雨は上がり空はホウキで掃いたかのように雨雲も消え晴れ渡ったのだとか。
人々は自分たちの犠牲になった美しい少女を偲んで、
紙で「掃晴娘(そうせいじょう)」と名付けた少女のお人形を作って吊るすようになりました。
これが始まりです。
ただ、この時点では「女の子のお人形」だったのですが、
これが日本に伝わった時、日本ではお天気の祈祷をするのは僧侶の役目でした。
ですから少女のお人形から「坊主」になったのではないかと言われています。
しかし、ここで終わらないのが「てるてる坊主」です。
もうひとつ語り継がれているお話があります。
こちらのお話の舞台は日本です。
昔々、皆が降り続く雨に困っていると、ひとりの有名なお坊さんがやって来ました。
このお坊さんがお経を唱えると必ず晴れたのだそう。
そこで、お殿様は自分の前で、そのお坊さんにお経を唱えてもらいました。
しかし、雨は降り止むことなく降り続いたのです。
雨が止まなかった罰として、お坊さんは首をはねられてしまいました。
その首を白い布で包んで吊るしたところ、次の日は雨が止み晴天になったのだとか。
これがてるてる坊主の始まり、という言い伝えも残されているようです。
きっと、昔はこちらの言い伝えが主流だったのでしょうか。
「てるてる坊主」の3番の歌詞には、『てるてる坊主 てる坊主♪ あした天気にしておくれ♪それでも曇って泣いてたら♪ そなたの首をチョンと切るぞ♪♪」と残されています。
少々ブルブルッと身震いをしてしまうお話ですが、
古でのお天気は農作物の出来に関わる死活問題でしたから、
これ程までに命がけのことだったということなのかもしれません。
そういえば、「てるてる坊主」に雨をお願いしたい時は、逆さに吊るすと良いと言われていますが、
他にも「てるてる坊主」には、その扱いにお作法があるのですが、ご存知でしょうか?
作る時に、てるてる坊主にお顔を書き入れないのが基本なのだそう。
不気味ではありますが、顔無しのてるてる坊主が基本です。
そして、翌日晴れたのなら、その時に初めて顔を描き入れるのが本来のお作法なのだとか。
私としては、晴天を呼び込むような笑顔炸裂なてるてる坊主を眺めながら
晴天をお願いしたいような気がするのですが、皆さんはいかがでしょうか?
突然の雨に遭遇しました際には、雨宿りしながら「てるてる坊主」のお話など思い出してみてくださいませ。
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