幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

露地栽培の枇杷は、この時期限定の恵み。枇杷にまつわる、あれやこれやも味わってみませんか?

f:id:hiiragi1111:20160619132355j:plain

いつも通る道を歩いていると少し先の木の枝にオレンジ色の実がなっていた。

ぎりぎり肉眼で確認できる程の薄っすらとした産毛に覆われた

ぷっくり、ふくよかな枇杷の実だ。

大きく息を吸い込んだとて、

枇杷の香りは私の鼻までは届かないのだけれども、

なんとなく枇杷の香りを味わえそうな気がして、

こっそりと辺りの空気を鼻から静かに吸い込んだ。

案の定、枇杷の香りは味わえなかったけれど初夏のしるしを見つけたようで、

ほんの少し、私の心が弾んだような気がした。

f:id:hiiragi1111:20160619132513j:plain

程よい厚みの皮を手を使ってスーッとむいていくと、

京ちりめん生地のような表情の果肉が滴る果汁と共に顔を出す。

パクリと口に含むと、その上品で優しい甘みと香りが口の中に広がり、

一瞬にして初夏の香りに包まれる、季節感漂うフルーツだ。

f:id:hiiragi1111:20160619132448j:plain

枇杷が日本で本格的に栽培され始めたのは、

江戸時代に入ってからのようなのだけれども、

それよりも遥か昔、三千年も前から枇杷はインドの古い仏典の中で、

全ての生きもの万病を治す薬効を持った植物として記されていたのだそう。

これは、仏典や物語の中だけの話ではなく、

実際に枇杷には

ガン予防、血行改善、解熱作用、疲労回復、咳、吐き気、嘔吐抑制、

下痢予防、アンチエイジング、美肌、生活習慣病の予防や改善、

炎症抑制、感染症予防、ダイエット、などの効果があると言われており、

フルーツとしてだけではなく、漢方薬、枇杷茶などでも親しまれています。

 

魔法のような効能を持っている枇杷なのですが、

このような迷信を聞いたことはありませんか?

『枇杷の木を庭に植えると、その家の住人が病気になる、不幸になる』というもの。

そのような迷信があるという事だけしか知らなかったので、

今年はその迷信の元を探ってみました。

 

このような事が残されている理由は諸説ありました。

まずは、枇杷の木の特徴から連想されたのであろうこちら。

枇杷は常緑広葉樹なので植えると年中葉が落ちることなく育つため、

日光が遮られてその辺りの日当たりが悪くなり、

薄暗く、通気も悪くなり、陰気な空間になり、病人が出てしまう、という説。

 

枇杷は実以外にも昔から葉などを薬の一種として使用していた為、

お寺や病人のいる家では薬代わりに育てていたのだそう。

このことから、お寺や病人が居る家にある枇杷の木を、

そうでない家の庭に植えるのは縁起が悪いので、病人が出てしまう、という説。

 

薬効のある枇杷の木をお寺や庭に植えていると、

薬として枇杷の葉や実を分けてもらうために、方々から病人が来るようになる。

病人が途切れることがないため常に病人が居る家となったり、

病気が感染してしまったりと、病気との縁が切れないという説。

 

枇杷の薬効を使って商売をしていた人たちからすると、

各家庭で枇杷の木を育てられてしまうと利益を得られなくなるため

枇杷は縁起の悪い木だという根拠のない噂を流したという説。

 

私は、これらを聞いていると、枇杷にまつわる迷信は

死活問題が絡んでいる最後の説が有力のような気がするのですが

皆さんはいかがでしょうか?

f:id:hiiragi1111:20160619132551j:plain

迷信にまで話が及んでしまいましたが、

現在は枇杷の効果、効能がこれまでにも増して注目されています。

ハウス栽培やお茶などでも楽しむことができますが

露地ものは、この時期限定の恵みの味です。

機会がありましたら今年の枇杷を味わってみてはいかがでしょうか?

 

画像出典:https://jp.pinterest.com/