ポツリとできた休日を利用して、少し離れた場所まで足を延ばしてみることにした。
目的を持たずに散策するのも楽しいのだけれど、この日は、以前から気になっていたお寿司屋さんを目指すという目的を設定し出かけた。
もちろん、食べてばかりでは色々と気になるお年頃でもあるため、目的地周辺の散策も忘れずに目的に加えてのお出かけ、である。
その日は、雲ひとつない夏を感じる日差しが降り注いでいた。
これはもう「夏」以外の何ものでもないと感じながら歩いていると、日焼け止めを部分的に塗り忘れているという失態に気がついた。
私たちの体は、紫外線を浴びると体内で自動的にビタミンDが作られるシステムを持っている。
こうして作られたビタミンDは、体内でいくつかの工程を経た後に肝臓に蓄えられて、必要なタイミングで必要な場所に使われている。
ビタミンDは、食べ物から摂取してもいいのだけれど、手っ取り早いのは日光浴である。
女性はオールシーズン日焼け止めを使用することが多いため、ビタミンDが不足しがちだと言われている。
変な焼け方をしてしまうことを想像すると若干、気持ちが凹んでいくのは避けられなかったけれど、私も軽めの日焼け止めをオールシーズン使用しているため、きっとビタミンDは不足しがちだと思い直し、今日はビタミンDをじゃんじゃん作る日にしようと腹を決め、散策を続けた。
すると、道すがら小さなお寺を発見したため、少しお邪魔させていただくことにした。
観光地と言うよりは、地元にしっかりと根付いているお寺という雰囲気の場所で、印象的だったのは敷地内の中央に立派な木が植えられていたことだ。
木にはたくさんの赤い実、紫色を極限まで濃くしたような黒っぽい実、色づき始めたばかりの黄色い実がついており、既に落ちてしまった実も多数転がっていた。
一瞬、ストロベリーツリー?と思ったのだけれど時期が異なるため、木の周りをぐるり見回ると「ヤマモモ」というプレートが添えられていた。
初夏を知らせてくれるヤマモモは傷みやすい果実で、ジャムやお酒に使われることが多い果実だと言われているけれど、実物を見たのは初めてに近いような気がした。
これがヤマモモかと思いながら、もう一度ぐるりと木の周りを見回った。
ヤマモモには「一途」という花言葉がある。
同じ花言葉を持つ花は多々あるのだけれど、ヤマモモが「一途」という花言葉を持っている理由はこう。
ヤマモモには雄株と雌株の木がある。
雄株に付いた花の花粉が雌株の花に辿り着かなければヤマモモは実らないのだ。
しかし、雄株と雌株が必ず一緒に植えられているかと言えばそうではない。
それなのに、時期がくれば雌株のヤマモモはたくさんの実をつけるのだ。
これは、どんなに離れていても、雄株についた花の花粉は何キロも離れた場所に居る雌株の花までたどり着くそうで、ここから「一途」という花言葉が与えられたのだとか。
この話を思い出した私は、敷地内に雄株の姿を探したのだけれど、あるのはたくさんの実をつけた雌株1本のみだった。
実の多さから、飛んできた花粉の量が推測できたのだけれど、力強い一途さに圧倒されてしまった。
本物の一途さには、程よい軽やかさが含まれているのかもしれない。
そのようなことを思ったヤマモモの木である。
まだぎりぎり、ヤマモモの実を見ることができるように思います。
画像のような赤い実を目にする機会がありました際には、
今回のお話をちらりと思い出していただき、近くに居るかもしれない雄株を探してみてはいかがでしょうか。
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