今年も冬至が近づいてまいりました。
これから本格的な冬がやってくるのですが、冬至は、一年で一番日が短くなる日。
ということは、冬至の翌日からは、少しずつ日が長くなっていくということです。
この様子を日本や中国では、冬至の日は太陽の力が一番弱く、この日を境にして再び太陽の力が甦るとし、
「陰が極まり再び陽に転じる日」という意味の、「一陽来復(いちようらいふく)」と呼び、大切にしてきました。
もう少し簡単に、噛み砕いで表現するならば、冬至は、太陽のお誕生日のようなもので、
冬至を境にして、人々が上昇運に転じる日といたところではないかと思います。
その冬至に欠かすことができないものと言って真っ先に思い浮かぶのは、「ゆず」ではないでしょうか。
ゆず湯や冬至に関するお話は、既に何度か触れておりますので、
今回は冬至とは異なる視点から、「ゆず」そのものにスポットライトを当ててみようかと思っております。
ご興味ありましたら、ちらりとのぞいていってくださいませ。
「ゆず」は、薬味としても親しまれている果実ですが、
ゆずの木が実をつけるまでには15年以上もの歳月がかかるのだとか。
ことわざにも使われている「桃栗三年柿八年」から見ると、「ゆず」が貴重な実であることが分かります。
随分と前に、そのような話題に触れる機会があったのですが、
そのときに、物事が成就するには、それ相応に時間がかかるということを意味する「桃栗三年柿八年」ということわざには続きがあると知ったのです。
ここから先は、様々なパターンがあり、地域によって異なることもあるそうなのですが、
「梅は酸い酸い十三年」、「ゆずは九年の花盛り」、「柚の大馬鹿十八年」、「枇杷は九年でなりかかり」といった言葉が残されているのだとか。
ちなみに、「桃栗三年柿八年」は大体合っているそうですが、その他は言葉通りという訳ではないようですので、ご注意を。
話が逸れてしまいましたが、とにかく「ゆずの木」が実をつけるまでには、長い歳月がかかります。
しかし、木の寿命はとても長く、人よりも長く生きることも少なくはないことから、
長寿の木という意味で「柚子」を「柚寿」と書き記すこともあります。
お祝いの席などで口にするお料理のお品書きなどには、この「柚寿」が使われることがありますので、
機会がありましたら、どのような字が使われているのか、確認してみてはいかがでしょう。
このように昔から大切に扱われてきた「ゆず」ですが、
この時季の「ゆず」は、黄色に色づいていることから、夏の「青ゆず」に対して「黄ゆず」と呼ばれており、夏の青ゆずとはまた違った風味を楽しむことができます。
そして、「黄ゆず」を楽しむ際のポイントは皮。
「ゆず」は、ビタミンC、カリウム、鉄分、ミネラルなどの栄養素が豊富な果実ですが、
どちらかと言えば、果肉や果汁よりも皮に、これらの栄養分が豊富に含まれていると言われております。
「黄ゆず」を召し上がるのであれば、是非皮ごと。
そして、この皮には体を温めるだけでなく、肌荒れを緩和させる目的で使われてきた経緯もありますので、この時季は、ゆず湯でお手軽ボディケアもおすすめです。
12月は「ゆず」を通して、ことわざを覘くもよし、栄養や美肌を求めるもよし、ただただ「ゆず」の香りに癒されるもよし、「ゆず味」のものを楽しむもよし、
お好きな扉を開けて「ゆず」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
※2018年の冬至は、12月22日(土曜日)です。
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