先日、友人から久しぶりにメールが届いた。
その友人というのは、以前同じ職場で働いていた後輩なのだけれど、今は互いに当時の職を離れ、それぞれの場所で過ごしている。
有り難いことに、当時の職を離れてからも疎遠になることはなく、心地良い距離感で温かいご縁が続いている友人の一人だ。
出張で国内を飛び回り忙しくしていた彼女からのメールには、結婚することが決まったとあった。
とてもおめでたい。
そして、彼女自身がこのことを喜んでいることが分かり、幸せに過ごしていることが嬉しくて、胸がいっぱいになった。
自分と関わっている人が幸せでいてくれる、元気でいてくれる、ということは、自分の幸せに繋がるのだと改めて感じた知らせであった。
だからこそ、自分自身も様々な意味でそうあらねば、と思った。
幸せをお福分けしていただいたこの日の夜、言祝ぐ(ことほぐ)という言葉が何度も頭に浮かんだ。
私は、この「言祝ぐ(ことほぐ)」という言葉が好きだ。
文字からも想像ができるかと思うのだけれど、お祝いの言葉を述べることを「言祝ぐ(ことほぐ)」という。
平安時代以降、初めは「ことほく」と言われていたようなのだけれど、次第に「言祝ぐ(ことほぐ)」や「寿く(ことぶく)」とも言われるようになったのだとか。
この「寿く(ことぶく)」が後に「寿(ことぶき)」と変化する。
この「言祝ぐ(ことほぐ)」という言葉には、言葉を口にすることによって幸せを招き入れるという言霊思想とがもとにあるという。
先人たちは、おめでたい言葉を口にすると幸せが訪れると言い、相手の幸せを願う、優しくて温かな思いを「言祝ぐ(ことほぐ)」「寿く(ことぶく)」という言葉に込めたのだ。
結婚式でのスピーチで「ご結婚を祝して」というフレーズがあるけれど、ここに更にお祝いの気持ちを込める場合「ご結婚を言祝ぎ」と使うことができる。
ここでは、結婚式を例に挙げたけれど「言祝ぐ(ことほぐ)」という言葉は、結婚式に特化した言葉ではなく、季節をお祝いする場、長寿のお祝い、人生の中に在る様々なおめでたいシーンで使うことができる素敵な言葉だ。
幸せのレシピ集でも度々触れる機会があるけれど、日本という国は、言葉を大切に扱ってきた国だ。
誰かの発したひと言に元気や勇気をもらったり、励まされたり、自分の発したひと言が知らぬ間に元気や勇気、励ましを与えていることがある。
言葉は人の思いや心を乗せている。
「思い」や「心」が不在の言葉ではなく、気持ちがこもった言葉を使っていきたいものである。
皆様も機会がありました折には「言祝ぐ(ことほぐ)」という言葉を使ってみてはいかがでしょう。
相手にも使ったあなたにも、幸せがふわり、訪れるのではないでしょうか。