近頃の日本は残暑が厳しいけれど、
移り行く季節を感じられる瞬間は思っているよりも多い。
そのような地で過ごせていることを幸せだと思いながら、
天候が目まぐるしく移り変わるイギリスでの生活を懐かしく思った。
イギリスは、1日の中に四季があると言われています。
朝起きて、Tシャツ姿が似合う程の清々しい青空が広がっていても、
数時間後には冬並みの寒さまで冷え込んで雨が降りだすことは日常茶飯事。
だから、夏に冬用のニットを着ている人が居たり、
真冬に半袖Tシャツを着ている人が居ても左程珍しいことではないのです。
世界には1日の中に四季があると言われている国は多く、
日本のように季節の移り変わりをじっくりと感じられる状況は、
実はとても貴重なことなのだと感じます。
そして日照時間。
イギリスは高緯度にある国なので夏の日照時間は長く
朝5時には既に外は明るく、夜22時頃から日が沈み始めます。
夏とは対照的に12月も半ばを過ぎると朝日が昇るのは8時頃で、
やっと昇った太陽も夕方4時を回る頃には姿を消し、
辺りは真っ暗になってしまいます。
日照時間が短いだけでなくお天気も悪く、曇り空や雨が目立ちます。
お天気が人に与える影響というものは不思議なもので、
このような環境で生活をしていると特段何かが起きたわけでもないのに、
何となく気分が沈んでくるのです。
そう感じていた矢先、イギリスでは日照時間が短い冬になると
季節性うつ病患者が増えることを知りました。
日照時間が短い上にイギリスでは白熱灯が主流なので、
日本と比べると、家の中でも外でも薄暗い環境で過ごすことになります。
ですから、日照時間が短くなってくると、
夜はできるだけ明るい光(蛍光灯)を浴びるようにという呼びかけが起こります。
日本では想像し難い状況ですが、
「眩しいけれど健康の為に蛍光灯を浴ばなくちゃ」という会話を耳にすることもあるのです。
もちろん、イギリスで白熱灯が好まれることには理由があります。
白人は瞳の色素は私たち東洋人よりも薄いため光を眩しく感じやすいので、
蛍光灯の様にはっきりとした明るさではなく白熱灯が好まれるようです。
これは家庭内だけのことではなくイギリスの夜の街からも感じとることができます。
ネオンは輝いているのですが日本人である私からすると全体的に薄暗く、
安全性は大丈夫なのかしらと思ってしまうこともありました。
逆に旅行で日本を訪れた友人たちは、
その明るさに驚き、日本の夜はどうしてこんなにも明るいんだ?
消費電力は大丈夫なのか?と口を揃えて言います。
徐々に移り変わる季節を感じられること。
日が短くなった、長くなった、という変化があるとはいえ、
1年中、安定して太陽を感じられること。
色鮮やかなイルミネーションを余すところなく感じられること。
私たちにとっては当たり前の日常ですが、
これらのことも私たちが思っている以上に、ありがたいことのようです。
もう少し経てばググッと秋も深まり、あっという間に冬がやってきます。
今しかない季節の狭間を、
ふと立ち止まって感じる時。間がほんの少しでもあると良いですね。
今日も、今日にしかない今を楽しみましょうね。