幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

祭りの欠片から数珠繋ぎ。

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ゴミを捨てに行ったらお面の束が捨ててあった。

お祭りの夜店で売られているような、キャラクターのお面である。

どのようなキャラクターたちのお面なのかまでは分からないけれど、一番上に乗せられていたのは白いお顔に赤のアイラインが印象的な狐のお面だった。

お面、仮面、呼び方は色々とあるけれど、お面というアイテムはもともと、人がお面の存在に成り代わって儀式を行うための道具で、

お面を付けることで、人にはない力を得て祈祷などを行うことができると考えられていたという。

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狐のお面は、五穀豊穣を祈る神楽や、能楽で神様の使いが登場する物語で使われていた。

きっかけは、日本人は古より大切な農作物を食い散らかしてしまうネズミを退治してくれる狐に大変感謝しており、神聖なものとして考えていたこと。

そして、狐の中でも特に白狐(びゃっこ)は、縁起の良い狐、神様の使いとして大切にされてきたのである。

また、白狐(びゃっこ)は、あの世とこの世を行き来できる狐だとも言われていたため、巫女などが儀式を行うときには白狐(びゃっこ)のお面をしていたという話もよく見聞きするように思う。

その後、時代を経る中で五穀豊穣だけでなく、商売繁盛や家内安全、交通安全、そのた様々な願いを叶えてくださる神様として全国で大切にされるようになったと言われている。

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夜店などで目にする狐のお面には、白狐、赤狐、青狐などカラフルな狐が並んでいるので、縁起の良い五色の狐かしら?と思ってしまったのだけれど、

狐に限っては。神様の使いとされるのは白狐(びゃっこ)のみで、それ以外の色の狐は神様の使いではなく、特別な意味もないという。

狐のお面には、白いお顔に赤のアイラインが印象的な白狐(びゃっこ)以外にもうひとつ、般若のような雰囲気をまとった狐のお面がある。

こちらは天狐(てんこ)と呼ばれており、私たちがよく知る一般的な狐が1000年生きた後の姿で、この歳になると天に通じて人に悪戯をすることもなくなり、先々の出来事を見通すことができるという。

そして、天狐(てんこ)に取りつかれた者には、神が持つ力、神通力が与えられると言われているため、ファンタジー小説などに登場する狐や、狐のお面は、天狐(てんこ)であることが多ように思う。

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狐のお面には、このような話があるのだけれど、お面と言えば、明治時代のいつぞやかに、当時の総理大臣・伊藤博文氏主催の仮面舞踏会が首相官邸で開かれたという話がある。

仮面で顔を隠してしまうことで気が大きくなってしまったのか、参加者の多くが羽目を外しすぎて仮面舞踏会というよりは単なる乱痴気騒ぎの会となったと語り継がれているのだ。

参加者たちが付ける仮面が、狐のお面であったなら神聖なイベントになっていただろうかと思ったりもしたのだけれど、人にはもともと様々な顔があるものだ。

何が、どのタイミングで、どのように出てしまうのかは、本人にも分からないことなのかもしれない。

それこそ、お面にしてもらえなかった未熟な狐たちの悪戯のひとつだったりして、とも。

皆様も狐の悪戯に遭わぬようご用心あれ。

そのような想像を繰り広げつつゴミ捨て場を後にした日である。

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