先日、画材を購入するために街の画材屋へ足を運んだ。
画材を購入するついでにシャープペンシルの替え芯を購入することにした。
替え芯の横には、レトロな風貌の鉛筆がお行儀よく並んでおり、
それを眺めていたら、久しぶりに鉛筆でも使ってみようかしらという気になった。
使い慣れているHBの鉛筆を摘み、ケースから引き抜いたのだけれども
そのときに妙な違和感を覚えた。
それは、2BやBの鉛筆が占める割合がとても多いという違和感だった。
画材店だからかしら、と自分を納得させようとしたとき、背後から店主に声をかけられた。
そして、店主は最近は柔らかい芯が流行りだと言ったのだ。
鉛筆芯に流行りなどあるのだろうか、
と思ったことは伝わってはいないと信じたいのだけれど、
店主は鉛筆芯の流行の背景を掻い摘んで話してくれた。
鉛筆やシャープペンシルの芯と言えばHBが主流だったけれど、
近年では2B辺りの柔らかい芯が人気なのだそう。
鉛筆芯に限らず時代の主流は変わるものなのだろうけれど、
主流が変わったこの背景には、いくつかの見方があるのだそう。
思わず、「そんなことってあるんですか?」と零してしまったのは、
近年の子どもたちは握力が低下しており、
HBの硬い芯を上手く使いこなすことが出来ない為、
握力が弱く筆圧も十分ではなくても、しっかりと書き記すことができる
2B辺りの柔らかい芯が人気だという説。
体力や筋力が低下しているという事実はよく耳にするけれど、
鉛筆を握る力や、筆圧にまで影響するほどの低下であれば問題なのではないかと、少し気になった。
もうひとつは、HBの芯で濃い文字を書こうとするあまり、
鉛筆を握る手に過剰な力が入り筆圧が過剰になるだけではなく、
文字が歪んだり、姿勢が悪くなったり、姿勢が悪くなることで視力にも影響がでるなど
様々な問題が引き起こされるのだそう。
これを防ぐ目的もあり、程よい筆圧でもしっかりと書くことができる2Bが推奨され
いつの間にか主流になった、という説だ。
2Bの鉛筆でノートに文字を書き詰めると手が真っ黒になってしまいそうだ、
などと思ってしまう私は、これまで慣れ親しんできた、
細やかな線も美しく書くことができる適度な硬さ(だと思っている)のHBを手に取ってしまうのですが、
皆さんはいかがでしょうか?
この件に関して教育者側からの正式な発表のようなものはないようなので、
真実を知る術は今のところないのですが、
鉛筆芯の硬さの背景にも“世の中の動向”や“世の中の今”が見え隠れしているようです。