日本人はカレー好きだなと思うのです。
例えば、海の幸や山の幸といったご馳走を思う存分食べた旅行帰りに降り立った空港や駅。
どこからともなく漂ってくる、あのスパイシーな香りに、
十分に満たされているはずの胃袋が「んっ?」と、ほんの少し反応したことはないでしょうか。
もちろん、どのようなカレーが好きかと問われれば十人十色なのでしょうけれど、
カレーは国民食だ、と言っても過言ではないような気がしております。
それを裏付けられるだけの証拠にはなりませんが、
私がこれまで出会ってきた人の多くは、カレーのことを好きだと言うでしょう。
「カレーは嫌い」と言って口にしなかった2人を除いては。
この、子どもも大人も一緒に美味しく食べられるカレーライス。
これを初めて考案したのは、お釈迦様だという事をご存知ですか。
随分と前に読んだ本の一説にそのような事が記されており、
私、本題そっちのけで調べてみたのです。
調べてみましたところ、
インドには、そのような言い伝え、伝説のようなものが確かに残されておりました。
今回は、このようなお話をさっくりと、と思っております。
お好きなカレーのスパイシーさを思い出しつつ、お付き合いくださいませ。
どのような言い伝え、伝説なのかと言いますと、
当時、若いお釈迦は山奥にあるブッダガヤの菩提樹の下で修業をしていたのだそう。
そして、この厳しい修行中の飢えは、
辺りで見つけた草木の根や実を潰したり、混ぜ合わせたりしたものでしのいでいたと言います。
長く厳しい修行を終えたお釈迦様は、ある村まで下りてきて教えを説いておりました。
そのお釈迦様が下りてきた村には牛や豚を食べない習慣があり、
村の人たちは羊のお肉を食べていたようです。
しかし、村人たちは羊の癖のある味とにおいに困っていました。
お釈迦様は、村人たちのこの悩みを聞きし、こうアドバイスしたといいます。
それ程までに羊の癖のある味とにおいが気になるのであれば、
この辺りに生えている草木の根や実を潰したり、
混ぜ合わせたりしたものを羊の肉にまぶしてはどうかと。
今で言うところのスパイス系の調味料といったところでしょうね。
村人たちは、このお釈迦様のアイデアを直ぐに取り入れたそう。
すると、あんなにもクセのあった羊のお肉は驚くほど美味しくなったといいます。
この土地の名が「カリー(カレとも呼ばれることもあります)」だったということで、
スパイスを使った料理のことをカレーと呼ぶようになったというお話です。
日本では、幕末から明治にかけた辺りにカレーが登場するようなのですが、
スパイスを混ぜ合わせて作られたカレーのルーは、日本で生まれたものでした。
カレーのアイデアはお釈迦様ですが、カレーのルーは日本生まれなのです。
日本人のカレー好きは私たちが思うよりも強く、
私たちの中に刻み込まれているのかもしれません。
カレーライスを召し上がる機会がありましたら、
インドのお話をちらり思い出してみてくださいませ。