突然ですが、皆さんは「体」と「身体」をどのように使い分けていらっしゃいますか。
わたくし、メモを取りつつ、自分の感じたことを記しておく癖があります。
ただ、全てを記していたのでは時間が足りないため、
メモを見返した時に、感情の記憶を引き出す鍵になるような言葉のようなものを書き残します。
先日、メモを取りながら話をしていたのですが、
記憶を引き出す鍵として手帳の隅に「身体」と記したのです。
すると、目の前に座っていた彼女の目にその文字がタイミングよく飛び込んでしまったようで、
どうして「身体」なの?
「体」ではなくて「身体」と書いたことに意味があるの?
話しの内容とは関係ないけれど、どうして「身体」とメモを?
と矢継ぎ早に質問してきました。
日常のちょっとしたシーンで温かい気持ちを添えることができる言葉のひとつでもありますので、
この機会に、「体」と「身体」の使い所のお話を少し、と思っております。
私たちの全身を表す際に使用する「からだ」という言葉。
漢字に書き替えますと「体」と「身体」の2つが思い浮かぶのではないでしょうか。
そもそも、どうして同じ読み方と意味を持った漢字が存在するのか。
これは、「からだ」というモノと
「きもち」というココロを分けて考える哲学から生まれたと言われております。
まず、シンプルな「体」という漢字。
こちらは、私たち人や動植物など全ての容姿を表す漢字で、
手や足、頭、肩など、個々が持っているパーツの全てが含まれた状態です。
一方、「身体」という漢字。
こちらは、先程の「体」に加えて「体」の持ち主の気持ち、心、精神面なども
含まれた状態を表します。
ですから、「体」という表現は、人や動植物など幅広い対象に対して使うことができますが、
「身体」という表現は、人に対してのみ使われることが多いかと思います。
例えば、腰痛を患っているとしましょうか。
自分の腰痛を心配して下さっている方に、
腰の痛みを気にせずに過ごすことができていると伝えたい場合には、
「体の調子が良い」という表現を。
腰の痛みが無いことで、気分も晴れやかだということまで伝えたい場合には、
「身体の調子が良い」という表現を選ぶと、より深くお伝えすることができます。
これを踏まえた上で、大切な方へ文字でメッセージを贈る場合に使う、
「お体を大切に」と「お身体を大切に」、この言葉はどうでしょう。
気遣いや丁寧さの違いが感じられるかと思います。
「体」と「身体」の使い所に迷われた際には、
「からだ」のみにフォーカスしたいのか、「きもち」も含めたいのか、
この視点で選ばれるとよいかと思います。
どちらでも意味は通じますし、
どちらを使っても間違いではないという風潮があります。
普段は、あまり気にしなくてよい使い分けではありますが、
ここぞ、という時には、サラリとあなたの優しさを言葉に含ませて届けてみてはいかがでしょうか。