玄関を開けると熱く重苦しい空気が体を包み込んだ。
郵便受けを覗きに行くだけだというのに、
全身の毛穴から汗が吹き出してしまいそうでキュッと毛穴に力を込めた。
郵便受けから取ってきた大量の郵便物をデスクに並べ、
20代前半からのお付き合いになるペーパーナイフで順に開封し中身を確認していく。
ひと通り目を通し終えると、デスクに横たわる
お手入れが行き届かぬまま古ぼけてきているペーパーナイフに目が留まった。
シンプルなシルバーのナイフで頭の方にはシェルモチーフが付いているお気に入りだ。
珍しく、そろそろ、お手入れをしなくてはという気分になった私は、
ペーパーナイフを手にキッチンへ向かった。
シルバー製品は男女問わず扱いやすいため、
アクセサリーなどをお持ちの方も多いのではないでしょうか。
出番が多いことも理由のひとつではあるのだけれど、
すぐに黒ずんでしまう点が少々厄介なところです。
専用の洗浄液などを使用したお手入れをすればシルバーの輝きは甦りはするものの、
いつ訪れるか分からない黒ずみの為に専用の洗浄液を常備しておくことは、
つい後回しにしてしまいがちです。
このような時には、お家にあるものを使ってサクッと黒ずみを取り除いてみませんか。
◆容易するものは、
熱湯を注ぐことができる器、アルミホイル、塩(天然のもの)、熱湯、割り箸です。※器ですが、私は深さが5cm以上ある耐熱食器を使用しています。アクセサリーが少量であったり、小さいものであればマグカップなどでも十分だと思います。
◆注意する点は、この黒ずみケアはシルバー部分のみに使うことができます。シルバー製品に宝石、天然石、接着剤などが使用してあるものに、このケアを施しますと、その部分が傷んだり破損したりするため、ケアを行う前にシルバー製品をご確認ください。また、あえて味を出すために黒ずみ加工を施されている、いぶし銀アクセサリーは、黒ずみ加工が取れてしまうため、このケアを行うことはできません。また、アクセサリーの量によってはケアの最中にニオイを発する場合がありますので、換気をしながら行うことも忘れずに。
◆まずは、お湯を沸かしておきます。お湯を沸かしている間に器の中の底にアルミホイルを敷きます。このとき、器の中にアルミホイルで作った器を入れるようなイメージでアルミホイルを敷いてください。アルミホイルで作った器の底に多めの塩を入れます。そこに、沸騰したお湯を注ぎ、お箸で軽く掻き混ぜ、シルバーアクセサリーを投入します。お箸を使ってお湯の中でアクセサリーを揺すったり、ひっくり返すなどします。黒ずみが取れたら軽く水洗いして塩分を摂り除き、柔らかい布で水分を拭き取ります。
◆細部の黒ずみ汚れはクロスで磨いたり、綿棒や爪楊枝の先端などを使うと直ぐに取り除くことができます。この方法で黒ずみが取り除けない場合は、「同じ要領でアクセサリーをお鍋で数分間、煮る」ことで黒ずみを取り除くことができる場合があります。
この黒ずみケアは、黒ずみの原因である硫化銀を
アルミと塩と熱湯を使うことによって分解し、取り除くという仕組みです。
私のお気に入りのペーパーナイフは随分と長い年月を経ていたため、
お鍋で1分ほどコトコト煮込んだのですが、
初めて手にした時の嬉しさを思い出すくらいの艶を取り戻し、
現在はデスクの上でキラキラと存在感を放っています。
わざわざ専用の洗浄液を常備しなくても、
お家にあるものを使ってお手入れができますので、
夏の間に活躍してくれたシルバーアクセサリーや、
黒ずんで手に取る機会が減っているシルバーアクセサリーなど、
この機会にお手入れをしてみてはいかがでしょうか。
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