歩いていると、「おせちのご予約」という文字が目に飛び込んで来た。
「せっかちだなぁ、生き急いでいる感満載だなぁ、まずは秋を楽しみたい」とひと通りのことを思いながら通り過ぎたのだけれども、その夜、私の感覚も似たり寄ったりだと思う出会いがあった。
出会ったものは、今回のタイトルにもあるとおり、大人が粋に愛でられる『錦折万華鏡』と名付けられた、ありそうで無かったタイプの折り紙だ。
どのような折り紙なのかというと、日本の伝統絵画「錦絵(浮世絵)」の絵柄が折り紙上にレイアウトされているのだけれど、そのままなプリントしてあるのではなく、万華鏡のようにレイアウトされている。
折り紙を折らなくても十分素敵な折り紙は、そのままフレームに入れて鑑賞しても素敵だと思うのだ。
こちらは、セットに入っている折り紙を全て並べたもの。
ただ、この折り紙の楽しみ方はそれだけではない。
多くの方が一度は折ったことがあるであろう鶴をこの折り紙で折ると、鶴が全身に錦絵(浮世絵)に描かれた景色を纏ってあらわれるというお楽しみ付き。
羽を広げない状態でも錦絵(浮世絵)の素敵な場面を眺めることができ、羽を広げれば、錦絵(浮世絵)の世界が鶴と一緒に目の前に広がり、
更に、折った鶴の頭の向きを揃えて並べれば、四季折々の富士山を一度に眺められるという演出まで用意されている。
どの段階まで楽しむかは、この折り紙を手にした人に委ねられているというわけである。
この1枚のデザインを構成するために、作り手の方はどれほどの神経を張り巡らせたのだろう。
そのようなことを想像すると、色々な意味でため息が漏れた。
大人がゆっくりと味わい、楽しめる、粋な折り紙を眺めながら私の気分は一気にお正月へと向かった。
気が早い話なのだけれど、この折り紙で作った鶴を、お正月のお箸置きとして使ったら艶やかで素敵じゃない。
そう思ってしまったのだ。
折らずに楽しみ、折りながら錦絵(浮世絵)の中の景色を楽しみ、久しぶりに鶴を折ることも楽しんで、完成品をゆったりと鑑賞できる、ちょっと贅沢な大人の折り紙。
あなたなら、『錦折万華鏡』の中の景色をどのように楽しみますか。
折り紙の楽しみ方に子どもも大人もないと思っていたのだけれど、あるところには「ある」ようでございます。
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