幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

ふわり軽やか紙風船。

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クリスマスデコレーションが街を華やかに彩っている。

虹色をしたカラフルな電飾もかわいいけれど、ロイヤルブルーとクリアカラーのシンプルな電飾も捨てがたい。

うかうかしていると、この素敵な景色も直ぐに見納めどきを迎えそうな気がして、この日は歩くペースを落として家路に着いた。

しかし、この景色。

外国のそれとは大きく異なるように感じられるのは、どうしてだろう。

街並みや空気の質感、電飾の色など、異なるポイントを挙げ始めたらきりがないのだけれど、何かが……、そう思いながら歩いていると、ふと、ショウウィンドウに飾られている昔ながらの紙風船が視界に入り、答えを見つけたような気がした。

日本の12月は、クリスマス一色ではなく、年始用のお正月デコレーションも店頭に並び始める為、クリスマスとお正月が混ざり合う日本ならではの雰囲気がそう感じさせるのかもしれない。

これはこれで、八百万を楽しむことに長けている日本らしさが溢れていて、いいものだと思う。

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その日私が目にした紙風船は、赤、青、黄、緑、白の五色の薄紙をつぎはぎしたようなデザインでお馴染みの、あれである。

触れる機会が無くなったものの一つだったのだけれど、少し前、自宅ポストに投函してあった広告にプチプレゼントとして同封されていたこともあり、私の手には紙風船に触れた感触がまだ残っていた。

紙風船はとても繊細なものという印象を持っていたので、きれいに折られていたそれを優しく広げたのだけれど、思っていたよりもしっかりとした作りに感動したのも最近のことである。

思わぬ経緯で触れる機会を得たけれど、この紙風船を製造している工房は日本に1軒のみ。

工房の名は「磯野紙風船製造所」と言い、100年ほどの歴史を持っているのだとか。

そう聞けば、私たちが目にする紙風船の全てをこの工房が作っているのだろうかと想像してしまうけれど、市場に出回っている多くは、低価格で作られた中国製だという。

日本製のものが高いのかと言えば決してそうではないため、大人ならではの事情が脳裏を駆け抜ける中、私の手元に舞い込んだ紙風船の生まれを確認すると、確かにメイドインチャイナとあった。

私は、外国の友人、知人たち気軽に配ることができる日本らしいお土産のひとつとして、紙風船を大量に購入したことがあるのだけれど、今思えば、あれも中国製だったのかもしれない。

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紙風船の背景に興味が湧いた私は、ちらりと覘いてみたのだけれど、この紙風船は大正時代の頃、冬になると漁に出ることができない新潟の漁師町の方々が、内職仕事として作り始めたものだという。

スーパーボールのように、飛距離が伸びたり、弾力性や迫力はないけれど、薄紙の柔らかさと、手のひらで跳ね返すときに聞こえるポンポンという優しい音は、どこか人を落ち着かせる魅力があるように思う。

「磯野紙風船製造所」で作られるオリジナル品の中には、てんとう虫や地球儀デザインのもの、短冊が付いた「星に願いを」という名の商品など、遊び心ある紙風船もあった。

私が紙風船で遊ぶには大人になりすぎてしまったけれど、来年の新春飾りには、あの優しい雰囲気を持った紙風船を加えてみようかしら。もちろん今度こそメイドインジャパンのものを。

そのようなことを思った、ある冬の日である。

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