お気に入りの温州蜜柑のジュースとストールを手にガーデンチェアでひと息つくことにした。
片手の中にすっぽりと納まるサイズのパックに入ったジュースにストローをさし、
甘いジュースを吸い上げつつ、今日の空の顔色を伺う。
空を薄く覆っている雲の隙間から差し込む陽射しは後光のようにも見え、
何の根拠もないのだけれど、何かいいことが舞い込んできそうな気になった。
いい気分のまま視線を落としたジュースのパッケージに書かれた蜜柑の文字。
漢語では「みかん」のことを「柑(かん)」と書く。
遥か昔、この「柑(かん)」という言葉が日本に伝わり、
小さくて酸っぱい柑橘の実のことを「柑子(かんし/かんじ)」と呼ぶようになったという。
この、「かんし/かんじ」が、どのような経緯を経たのか分からないけれど、
その小さな実は、南九州でとれる柑橘の実だったはずなので、
方言のようなものが混ざったのだろうか。
後に「こうじ」と呼ばれるようになったのだそう。
更に時を経て、室町時代辺りには中国から「みかん」が渡ってきたようなのだけれど、
この「みかん」は、私たちにも馴染みある現代の「みかん」と大差ないものだったようで、
当時の人たちは、この柑橘の実(柑・かん)の甘さに感激したのだそう。
そこで、蜜のように甘いみかんということで、
この頃からの「みかん」は「蜜柑(みつかん)」と呼ばれるようになり、
「みつかん」が「みっかん」に、「みっかん」が「みかん」と呼ばれるようになったという。
今は、フルーツの甘さを競い合うような時代でもあるため、
甘くない蜜柑に出会う確率はそう多くはないけれど、稀に、出会ってしまうこともある。
すると、ハズレくじを引いたような気分になってしまうけれど
もしかしたら古の味に出会えた、ある意味、貴重な瞬間とも言えるのかもしれない。
なんて、壮大なことを思って、
ハズレくじを引いた時のやるせなさを紛らわせる準備をしてみたけれど、
私はやはり甘い「みかん」を口にしたい。
できることなら、この温州蜜柑ジュースのように、いや、蜜のように甘い「蜜柑」を。
そのようなことを思いながら、残りのジュースを一気に飲み干した。
これからの季節、風邪予防や美肌に「みかん」のビタミンCを!と言われますが、
レバーやその他の食材で鉄分を補給する際、
ビタミンCを一緒に摂ると鉄分の吸収率が上がると言われております。
レバーやその他の食材で鉄分を補給した後のデザートは、
「みかん」で鉄分も美肌も風邪予防も欲張ってみてはいかがでしょうか。
今年皆さんが召し上がる「みかん」が、蜜のように甘い「蜜柑」でありますように。
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