最近注目されている、大人になったら読めなくなるピーター・パンの絵本、
既に大人になっている私も、手にしたいと思っている。
まだ、ご存じないという方の為に、大人になったら読めなくなるピーター・パンの絵本がどのようなものなのか、簡単にではあるけれど、ご紹介させていただこうと思う。
この絵本の作り手は、美大生の“おかゆ”さん。
そして、このピーター・パンの絵本には、とても素敵な魔法がかけられているのだ。
内容は皆さんもご存じのピーター・パン。
ストーリー内に登場するロンドンの時計台や街並みなど、
実在する物は全て黒色のインクを使って登場する。
それ以外の人物や場所、物などは、
本が、年月を重ねる過程で日焼けして色褪せた時の色のインクを使って登場するのだそう。
この本を子どもの頃に手にして読んでいた時には、
ピーター・パンやティンカー・ベルといった、大勢の人物がストーリーに登場し、
ネバーランドの様子を文章からも挿絵からも楽しむことができる。
しかし、子どもが少しずつ成長するにつれ、本も同じように年月を重ね、
本その物が少しずつ色褪せていき、
描かれていたはずのピーター・パンやティンカー・ベル、
ネバーランドに関わる全てが本の色褪せに同化するようにして本の中から消えていくのだ。
そう、黒いインクで記された実在しているものだけが本の中に残るという魔法。
この絵本の存在を知った時、切なくて、儚くて、なんて素敵な絵本なのだろうと思った。
子どもの頃に見えていた世界や信じていた世界は、
大人になると見えなくなったり、そのようなものは無いのだと思ったりもする。
でもそれは、子どもの頃に見えていた世界に限ったことではなく、
大人になった私たちが重ねている日々にも通じるような気がしている。
目の前のものごとを見ようとしなくなったとき、
信じることができなくなったとき、
消える世界があるのかな、と。
この素敵な絵本は製作の初期段階とのことで、
装丁や内容をブラッシュアップさせたものが販売される予定なのだそう。
私は、自分自身への贈り物に、
そして、私の周りにいる小さなおともだちへの贈り物に、と今から心待ちにしている。
関連リンク:おかゆ (@annko64) | Twitter