そろそろ使い切ってしまいたい削り節があり、“だし”を取ることにした。
ゆっくりと昆布だしをとった後に、
削り節を豪快に手づかみで、ふぁさっ、ふぁさっと入れる瞬間は少しばかりテンションがあがる。
普段はパックの中に全てがセットしてある“だしパック”を使っているけれど、
こうして時々、丁寧に“だし”をとってみると、
キッチンが普段よりも優しい香りに包まれて、ほっこり温かな気持ちになる。
ほっこりついでに、削り節をお鍋の中ではなく
自分の口に運んだりもしつつお鍋の中を覗き込んでいた。
今現在、鰹節を使う分ずつ自宅で削るご家庭は、どれくらいあるのだろうか。
もしかしたら。鰹節が縁起物だということも少しずつ忘れられつつあるのだろうか。
鰹節は古くから贈り物として私たちが親しんできたもの。
時代によっては、「かつおぶし」と言う言葉の響きから
「勝男武士」という字があてられていたという話も残っているし、
また、ある時代からは鰹節を作る過程で生鰹をさばいた際に、
背中側の鰹の身を「雄鰹」、お腹側の鰹の身を「雌鰹」と呼ぶのだそう。
そして、この切り身がピタッと合う様から出来上がったものは「鰹夫婦節」とも呼ばれ、
長い間、縁起物とされている。
あまりにも生活に馴染みすぎている食材のため、
私自身は正直、日常生活の中で鰹節に対して特別感を抱くことはないのだけれど、
丁寧に“だし”をとった日は、頭ではなく体がとても喜ぶように思う。
ただ慣れ親しんできた食材というだけではなく、
大人が気になる代謝促進に疲労回復、リラックス効果にダイエット効果、
アンチエイジング効果に美肌効果、
そして、がん予防効果までオールマイティーに働く栄養素がギュッと詰まっている。
単に、色々な栄養素が入っている食材であれば他にも山ほどあるのだけれど、
鰹節の魅力は、私たちが生きていくために欠かすことができない栄養素の中で、
体内では作ることができない栄養素が9つほどある。
この9つの栄養素が全て鰹節には含まれていると言われているのだ。
この9つ、私の記憶に留められていなくて申し訳ないのだけれど、全て必須アミノ酸。
食べることでしか補うことができない栄養素を補わずにいたら、
いつかは、私たちの体内で底をついてしまうということ。
美容も健康もホンモノしか要らないならば、土台となる細胞を気遣うのが一番。
羽衣のように薄くスライスされた鰹節、食べなくたって変わらない。
そう思うのは、ちょっと惜しいように思います。
おだしに、サラダに、焼きなすに、揚げ出し豆腐に、おうどんに、お好み焼きに、ふぁっさ~とトッピングして
細胞にも、美味しさと栄養たっぷりの縁起物を届けてあげてくださいませ。
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