リビングのブラインド越しに陽だまりができていた。
冷たい空気をスーッと通り抜けてくる冬の陽だまりは、
ただ眺めているだけなのに体が芯から温まるような気がしてしまう。
レモンを浮かべたレモンティー片手にソファーから立ち上がり、陽だまりの中に立つ。
何度か踵を上げ下げしながら足の裏から伝わってくる熱を感じた。
程よい暖かさが、あまりにも心地よくて、思わずその陽だまりに腰を下ろした。
エアコンも床暖もストーブもヒーター類だって十分すぎるほど温かいのだけれど、
天然のそれは、人の体や心にナチュラルに馴染む。
ふと、お正月用に飾っていた生花が少しずつ、その役目を終えようとしていていることに気付き、
一本ずつ15センチ前後のショート丈にカットし、和風のミニブーケに作り直してみた。
水の吸い上げが良くなったからだろう、
ブーケも柔らかい日差しを浴びて、輝きが戻ったように見えた。
これでもうしばらく、このお花を楽しめそうだ。
そんな風に、ありふれた日常を陽だまりの中から眺めていると、少しずつ瞼が重くなってくる。
このまま眠ってしまいたい、いや、寝てしまいたい?
私の脳内スイッチがカチリと音を立てた。
私たちが良く使っている「寝る」と「眠る」という言葉。
双方とも就寝に関する表現で、ほぼ同じような意味を持っております。
私たちはこれを感覚で使い分けられていたりもするのだけれど、
メールなどの文面で、どちらを使おうかしら、と思うことはないでしょうか。
もしくは、お子さんに、どういう時に、どちらを使うの?と尋ねられたとき、どのように答えますか。
今回は、そのようなお話を少し、と思っております。
温かいお飲み物片手に、
もしくは、あなたのそばにある陽だまりの中から、覘いていってくださいませ。
最初に結論を言ってしまうと、
同じ意味で使うことができる言葉ですが、
スヤスヤと熟睡している状態を表す場合と、
横たわったり、大の字になったりといった、寝る体勢をとった状態を表す場合では、
それぞれに適した言葉があります。
まずは「寝る」。
こちらは、「寝ている」という言い回しをすれば、
スヤスヤと熟睡中の様子にも使うことができますが、
寝ている状態ではなく、単純に寝るための動作や姿勢を表現するときに適した言葉です。
例えば、寝る間を惜しんで働くという状態は働いており、
スヤスヤと熟睡している状態ではないので
寝るための動作や姿勢を表す「寝る」が使用されています。
一方、「眠る」。
こちらは、周りの声が届かないほど、スヤスヤと熟睡している状態に使います。
季節柄、一番イメージしやすいのは、
全身の電源を切ったかのように眠っている状態を表す「冬眠」という言葉かもしれませんね。
どちらでも使うことができる「寝る」という言葉をメインにして過ごすのも良いのですが、
目の前の対象人物が熟睡しているのか、していないのかによって
「寝る」と「眠る」を使い分けてみることで現れる暮らしの彩りもあると思うのですが、いかがでしょうか。
陽だまりに誘われる「うたた寝」は、熟睡一歩手前なので「寝」が使われているのでしょうね。
今日も、ここへ足を運んでくださった皆さんの心が、ぽっかぽかでありますように☆彡