子どもが感じる、なぜ?どうして?には様々なものが詰まっているなと思う。
ある日、レジ待ちをしていたときのこと。
目の前に小さな男の子と母親が並んでいた。
モジモジと動く男の子に母親が「どうしたの?」と聞くと「トイレ」と返す男の子。
「トイレは大丈夫って言ってたじゃない、我慢できる?」「できない」と、よくある会話が私の耳にも届いた。
男の子に限界が近づいていたのかもしれない。
彼は大きく体をくねらせはじめ「トイレに行かないようにジュース飲まなかったのに何で?」と、
半ばキレ気味に母親に言った。
そして、母親は私と順番を変わると男の子の手を引いてトイレの方へと駆けていった。
2人の後ろ姿を見送りながら、ふと思う。
確かに、簡単にはトイレにいけないだろうからと水分を控えても行きたくなることはある。
それはどうしてだろう、と。
それは、このようなことだった。
口に入れた水分は、胃や十二指腸、小腸や大腸などを順番に流れていきながら、体内に吸収されます。
この水分の大半は主に小腸と大腸で吸収されており、
ここで吸収された水分は血液の中に取り込まれます。
血液に対して過剰な水分や栄養素は不要とみなされて腎臓に運ばれ、
腎臓で更に細かく選別された後、尿として体の外へ排泄されます。
一方、胃や十二指腸、小腸や大腸などで吸収されなかった過剰な水分は、
体内の老廃物など一緒に便として体の外へ排出されます。
このような流れを知ると、
私たちの体が、口に入れた水分から生命維持に必要な量の水分を受け取り、
残った水分を体の外へ排出しているように見えるため、
「口から入れる水分を控えさえすれば、トイレに行きたくならずに済む」
と単純に思ってしまうけれど、そう単純ではないのだそう。
私たちの体の中には代謝水というものがあります。
代謝水というのは、体内の細胞たちが活動することでできる水分のことで、
体重1キロに対して約5ミリリットルほど作られているのだそう。
この代謝水と呼ばれている水分の中には、
私たちの体が無意識に皮膚などから蒸発させている汗などの水分も含まれているのだけれど、
本人の意思が無くても汗が蒸発することからも分かるように、
私たちの体は、この代謝水を体の外へ排出するシステムも備えています。
このような体の仕組みを知ると、
口から入れた水分と、体の外へ排出される水分量は同じではないことが分かります。
もし、小さなお子さんが、予めトイレに行っておいたにも関わらず、
ドライブ中やお買い物中などにトイレに行きたいと言ったときは、
代謝水のことをチラリと思い出してみてはいかがでしょう。
そうすると、ほんの少しだけ大人目線での「どうして?何で?」が和らぎ、
穏やかに対処することができるような気も致します。
もちろん、この代謝水のシステムは大人も同じです。
そして、代謝水のことと一緒に確認しておきたいのは、
トイレを気にするあまり水分摂取を我慢するのは良くないということ。
私たちの体は水分が不足してしまうと、血液の中にある水分が減ってしまいます。
過去記事でも何度か触れていると思うのですが、
血液の中の水分が減ってしまうということは、
細胞のひとつ、ひとつに十分な水分が届かないということです。
細胞に水分が届かなくなれば様々な機能が正常に働かなくなりますので、
喉や口、唇が渇き、頭痛がおきることもあります。
更に水分が不足し、脱水状態がすすめば血圧が下がり、意識が朦朧としたり、
臓器に障害が起きるなど、様々な症状が現れます。
健康な体を思う時、私たちは臓器単位、体の部位単位に表れた症状だけで判断してしまうことがありますが、
それらのもとは、細胞なのですから、日頃から細胞を潤わせることも、どうぞお忘れなく。
暖かくなってきましたので、私たちの体が欲している水分量も増えてきているかもしれません。
季節の変わり目は、体の声をしっかりと聴いてあげてくださいませ。