ある建物の受付カウンターにコロンと丸いフォルムの一輪挿しが置いてあった。
和の雰囲気をまとうそれには、白く小さな花をひとつだけ付けた植物が挿してあった。
一瞬、控えめすぎるようにも見えたけれど、花器の白と白い花を繋ぐようにして在る緑色の葉が、
引き算によってつくられた美しさのようにも見えた。
立ち寄る人の邪魔をせずにもてなす一輪挿し、奥深きものだと思う。
とまぁ、前向きに解釈したのだけれど、建物を出た後に、挿してあった花がドクダミだったことに気付き、
だから花一輪だったのかしらと、活けた方の意図を想像してみたりした。
誰でも一度は見たことがあるであろうドクダミの花。
ちょうど梅雨のこの時季に見ることができる花なのだけれども、
その白く可憐な姿からは想像し難い悪臭を放つことでも知られている。
一輪では、それほど気にはならないのだけれど群生するドクダミが一か所に集中して咲くと、少々厄介なのである。
しかし、このクセのある悪臭の成分が、炎症や菌の繁殖を抑え、
体内に溜まってしまった毒を体外へ排出したり、
高血圧予防、動脈硬化、脳梗塞や心筋梗塞といった生活習慣病の予防や、
血液をさらさらにして、浮腫みを取り除いてくれたりということなどに力をかしてくれるのだ。
ドクダミは、このように多種多様な薬効があると言われているため、
漢方では十薬(じゅうやく)と呼ばれ、薬効高い植物として知られている。
様々な茶葉がブレンドされた健康茶を召し上がる機会がある方中には、
その中にドクダミが入っていて馴染みがあるという方や、
他にも、化粧水にドクダミエキスが含まれているものを使っていらっしゃる方、
入浴剤の成分として知らぬ間にお世話になっていたという方もいらっしゃるかと。
かく言う私も、常備している訳ではないのだけれど、
アレルギーやアトピーの症状が引ききらない時などに、お茶や入浴剤で取り入れて、
体の内側と外側の両方から毒を出し、コンディションを整えています。
ドクダミ成分を含んだ入浴剤が気持ち多めに店頭に並ぶこの時季。
ドクダミ成分は、“あせも”や“しっしん”などの吹き出物に効果的ですし、
新陳代謝も活発になり、お肌の表面も滑らかになりますので、
お肌や体質に問題が無ければ、この季節を健やかに過ごすためのアイテムとして
楽しんでみてはいかがでしょうか。
もちろん、薬効だけでなく、機会がありましたら可憐なお花も目で楽しんで下さいませ。
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