子どもの目線辺りに椿が10メートルほど植えられている場所がある。
この時季に咲いているということは藪椿だろうか。
鮮やかな黄色をした、茶筅の先のような雄しべは、艶やかな赤い花びらに囲まれていた。
その色のコントラストに惹かれるのは子どもも同じなのだろう。
目の前を歩いていた女の子が、繋がれていない方の小さな手で雄しべに、
ちょんちょんっとリズミカルに触れながら歩いていた。
時折、その手で、カスタネットでも叩くかのように真っ白なスカートに触れたりもしながら。
信号待ちで、その親子に追い付いて気が付いた。
女の子が来ている真っ白な春らしいスカートの片側が、椿の花粉で黄色に染まってないることを。
母親が気付くのはもう少し先のことかもしれないけれど、
落ちにくい花粉まみれになったスカートを目にしたときの母親のことを思うと、
大変だろうな……と思った。
春は歓送迎シーズンでお花に触れる機会もありますし、
お花見やバーベキューをする機会も増え、
うっかり花の花粉が衣類に付着してしまうこともあるかもしれません。
今回は、そのような時に、お気に入りのお洋服を傷めることなく対処する方法を確認しておきませんか。
まず、“絶対にしてはいけないこと”を確認しておきましょう。
それは、水で洗ってはいけないということです。
花粉は虫たちに運んでもらわなくてはいけないため、
虫たちの足に付着しやすいように油分を含んでいます。
ですから、衣類に花粉が付いたときに、水洗いをしようとしたり、擦ったりしてしまったら、
線維の中に油分と共に花粉が入り込み、取り除くことが難しくなり、シミとして定着してしまいます。
“花粉に水はNG”ということを覚えておきましょう。
では、どうするか。
【1】外出先で気付いた場合は、すぐに生地の裏側から爪で弾くようにして花粉を飛ばします。
自宅であれば、生地の裏側から爪で弾き落としたあと、掃除機のヘッドを外し、柄の先端にハンカチなどの薄い布を被せてゴムで固定した状態で、生地の表側から花粉を吸い取ります。
衣類ブラシでブラッシングしてしまうと、繊維の奥に花粉と油分が入り込んでしまうため、衣類ブラシもNGです。
【2】慌てず直接触れずに正しく対処すれば【1】の段階で、花粉を取り除くことができるのですが、気付かないうちに触れてしまったり、対処を間違ってしまったり、花粉の粒子が細かく、花粉の色が生地に残ってしまった場合には、食器洗い専用洗剤を使用し(※過去記事参照→★)、それでも色が落ちなければワイドハイター(※過去記事参照→
★)に漬け込んだ後、通常通りのお洗濯をします。
一般的な対処法に、無水エタノールか除光液を染み込ませた布や綿棒で、
優しく生地を叩くようにして色素を取り除いた後に、通常通りのお洗濯をする。
というものがあります。
こちらも、効果的ではあるのですが、
私は、この方法で生地を傷めてしまった経験があり、最終的に上記の方法に辿りつきました。
文字にしてしまうと、お手入れの説明が細かくなってしまいますが、
とにかく花粉汚れは、水で洗わずに生地の裏側から弾き飛ばすことがポイントです。
私が食器洗い専用洗剤を使うのは花粉に含まれている厄介な成分が油分だから、です。
お気に入りのお洋服で過ごす春。
花粉のアクシデントに見舞われても余裕の笑顔でお過ごしくださいませ。
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