ジリジリと照り付ける太陽が、夏の厚手な雲に覆われた。
それでも、ジリジリと肌を射す感じは弱まる気配がなく、お手柔らかに頼みますよという思いを込めた眼差しを空に放った。
いつの間にか耳に馴染んでいる蝉の鳴き声も、太陽に加勢しているように思えてきたものだから、
水遊び気分を味わうべく、日々、お世話になっているガーデンテーブルとチェアを洗うことにした。
ロングホースをセットして、魔女宅を連想するデッキブラシと洗剤を手に、いざ出陣。
飛び散る水しぶきは、ひんやりとしていて気持ちがいい。
調子に乗って、足をビーチサンダルごとシャワーで冷やしてみる。
ここまでくると、ガーデンテーブルを洗おうとしているのか、水遊びがしたいのか分からなくなる。
そうして水と戯れていると、シャワーの奥に虹が出た。
これ、子どもの頃から好きなのだ。
大空に架かる虹も、月に架かる虹も壮大で優しくて素敵なのだけれど、
目の前にできる小さな虹は、自分の為だけの虹のように思えて、大事に大事に眺めたくなる。
虹という漢字には「虫」の文字が使われているけれど、
中国では蛇が天に昇って龍になるという考えから、龍は蛇でもあるのだ。
そして、この蛇は「虫」に属していると考えられていたため、
これが、漢字の「虹」に「虫」が使われるきっかけになったのではないかと見る専門家もいる。
更に中国では、空から降る雨によって天と地が結ばれたとき、
虹霓(こうげい)と呼ばれる雌雄の龍が水を飲みにくるという話があり、
そのときに、空に虹が架かると考えられていた。
この虹霓(こうげい)は、日本ではダブルレインボーと呼ばれている。
虹が二本同時に架かる珍しい情景なので吉兆の印なのだそう。
ちなみに、地面に近い位置に出た、はっきりと濃く見える虹が雄で、
天に近い位置に出た薄っすらと見える虹(霓)が雌。
一方、ヨーロッパでは、国によってストーリーの細部が若干異なりはするものの、
虹が幸運の象徴であるということを表す、このような話がある。
虹の始まりの部分には金の壺があり、虹は、その壺の中の水を飲みに天から降りてくると言う。
虹が壺の水を飲んでいる間に、虹の始まりの部分にある壺を見つけて手にすることができたなら、
その壺が、壺を手にした者に一生、幸運を運び続けてくれるとう話だ。
虹を科学的な目線で見れば、あっけなく種明かし出来てしまう虹だけれど、
夏の日差しの中に現れる虹には、他の季節とはまた違った輝きがあるように思う。
虹を目にした際には、龍のお話、壺のお話と共に、虹を楽しんでいただけましたら幸いです。
今日もここへ足を運んでくださった皆さんの心に、幸せの虹がかかりますように☆彡
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