外国で暮らしている友人から、手頃な値段で購入できる鯉のぼりをモチーフにしたものはあるだろうかと尋ねられた。
日本の鯉は一部の外国の方々にも人気だと聞いていたけれど、端午の節句の話をしたところ、鯉のぼりに興味を持った方が大勢いたという。
そして、その話はとんとん拍子に進み広がり、異文化交流会の場で日本の端午の節句の催しを開くことになったのだそう。
そこで友人は、当日参加する子ども達へのサプライズプレゼントに、日本のスーパーなどで節句の時期が近づくと見かける、簡易的なお菓子付き鯉のぼりを準備したいと探すも、
海外発送を引き受けてくれるネットショップが見つからないのだと言った。
日本の100円ショップのようなものがあればアイデアでカバーできるのだけれど、田舎町に住んでいる友人の環境では色々と難しい事情もあり、私もこちらで探してみることにした。
しかし、日本でもほんの少し、時季が早いのだろう。
日本に居る私も、本格的なもの以外の鯉のぼりを探しきれずにいる。
鯉のぼりは、「鯉が龍門と呼ばれる激流を登り切ると龍になって天に昇っていく」という中国に伝わる言い伝えがもとになっている。
この鯉が成長していく様子と、子どもの成長を重ね、願いを込めているのだ。
そして、この風習は関東の風習だったそうなのだけれども、少しずつ全国に広がり、現代の形に定着している。
以前、幸せのレシピ集内でも触れたことがあるのですが、
鯉のぼりは、古代中国で生まれた、自然界は木、火、土、金、水の五つの要素で成り立っている
という「陰陽五行説」がもとになっており、
鯉のぼりの一番上につける吹流しも、これに対応する青、赤、黄、白、黒からなる五色が使われている。
そして、鯉のぼりそのものにも色が付いており、黒い鯉のぼりは真鯉を指し「父」を意味している。
これは、陰陽五行説で黒を見てみると「水」と「冬」を表しているのだけれど、
水が生命の源であることと、冬は生物がじっとしている季節だということから、
どっしりとした存在感を放つ「父」を表す真鯉に黒が使われているという。
このように陰陽五行説を用いて、
知恵や万物を生み出す「火」と命が育まれる「夏」を表す赤を、母を表す緋鯉(ひごい)に。
生物が活発に活動する様子を表す「木」と「春」は、
植物が空に向かって真っすぐに成長する様子と、未来へ向かって真っすぐに成長していく子どもの姿を重ね合わせ、子どもを表す鯉には青を選んだと言われている。
と、私は思っていたのだけれど、正確には江戸時代辺りまでは、父を表す真鯉の黒のみが決まっており、他の鯉の色は自由だったのだそうだ。
明治時代に入り、赤や青といったカラフルな鯉のぼりが登場し、黒に使われていた陰陽五行説を用いて、赤や青の鯉にも意味が加えられたという。
節句用品を扱う売り場の方の話によると、ここ数年、外国生まれの洒落た鯉のぼりも登場しているようなのだけれども、まだまだ日本生まれの「ザ・鯉のぼり」が人気で、
はじめに黒、赤、青の鯉のぼりを購入し、お子さんが増えると緑や紫、黄色などを足す方が多いのだそう。
このような鯉のぼり事情も入手しながら、私のハッピーサプライズ用の鯉のぼり探しはもう少し続きそうである。
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