友人から、下戸でもお酒気分を味わえるようなノンアルコール飲料はないか?と尋ねられた。
体がお酒を一切受け付けない体質の人のことを下戸と言い、
そのような遺伝子のことを下戸遺伝子と呼ぶけれど、
この下戸という言葉の歴史は古く、しかも、日本と中国に語源と言えるような説があると聞いたことがある。
ただ、当時のそれらは、今のような使い方とは少し異なった意味で使われていた。
今回は、私たちが知る「下戸」という言葉のルーツを覘きます。
お時間ありましたら、お気軽に要点だけを摘まみ食いしていって下さいませ。
まずは、日本に残っている「上戸・下戸」の語源となる説ですが、
これらの言葉は、古の平安時代の頃には、既に使われていたと言われております。
当時は、家族の構成や資産の状況によって人々が階級分けされておりまして、
今で言う税金を、より多く納めることができ、資産も十分に持っているような家は「上戸」と呼ばれていました。
以下順に、「中戸」「下戸」と続いたのですが、この階級分けは婚礼の席にも反映されており、
婚礼の席で出すことができる祝い酒も、上戸の家の方が多く出すことができ、
下戸の家は、ほんの少ししか出すことが許されていなかったといいます。
当然、口にできるお酒の量には差が出ますので、
次第に、お酒をたくさん飲むことができる人のことを「上戸」といい、
多くは飲めない人、全く飲めない人のことを「下戸」と呼ぶようになったのだとか。
一方、中国に残されている語源は、秦の時代にまで遡ります。
秦の時代、万里の長城を守る兵士たちがおりました。
兵士たちは、厳しい寒さに耐えながら山上の門、「上戸」を警備する組と、
寒さはそれほどないけれど非常に体力両毛する平地の門「下戸」を警備する組に分けられていたと言います。
厳しい寒さの中、上戸を警備する兵士たちには、体温を上げて寒さから身を守れるように、お酒が支給され、
体力を消耗する下戸を警備する兵士たちにには、体の疲労を取るために、甘いものが支給されたのだそう。
お酒を飲むことができる上戸の兵士と、お酒を飲むことができない下戸の兵士いう状況が、
お酒を飲めない人を下戸と呼ぶようになったのだとか。
どちらの語源が発祥と呼べるものなのか判断ができないようなのですが、
お酒を全く受け付けない体質、「下戸遺伝子」を持っている人がいるのは、日本人や中国人だけだと言われていますので、
双方の国で、同じような言葉が、同じような意味合いを生み、使われるようになっても
不思議ではないような気が致します。
お酒を召し上がる機会がありましたら、「下戸」の言葉の背景を、ちらりと思い出していただけましたら幸いです。
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/