以前、私の友人が、職場に遅刻癖がある人がいると話していたことがある。
遅刻癖があるという方は男性で、とても腰が低く、遅刻した後は、職場内の一人一人に頭を下げて回ってから仕事を始めるという。
悪い人ではないし、仕事振りに問題があるわけでもないけれど、遅刻癖があるのだ。
職場内では、何か言い難い事情があってのことではないだろうかという声が上がり、
上司が彼に尋ねてみたというけれど、本人は、ただただ頭を下げるばかりで理由を話すことはなかったという。
そのような話を聞いたことすらすっかり忘れた頃、友人が再び、その話の続きを始めた。
この時、心理学を通して遅刻を見ると、遅刻が人の潜在意識と関係している場合もあるという話題があった。
近年の心理学の研究では、遅刻を繰り返す人は、
自分では認識できていない潜在意識のところに、罪悪感や劣等感を持っている場合があると言う見方があるそうだ。
もちろん、遅刻癖を持つ全ての人の潜在意識に、罪悪感や劣等感があるというわけではなく、
遅刻に至る過程にも様々なケースがあり、
数ある理由の中のひとつとして、挙げられるという域の話なのだけれど。
私たちが、普段は認識できていない潜在意識で感じていることは、無意識の行動として度々、現れると言う。
そして、遅刻を繰り返す人の中には、無意識に感じている罪悪感や劣等感によって、
「私は、罰を受けなくてはいけない人だ」と感じ、遅刻を繰り返している場合があるのだそう。
これは、遅刻をすれば、周りから注意を受けたり、迷惑がられるという形の罰を受けることができ、
「私は、罰を受けるべき人だ」と感じていることが正しいと証明されるからだという。
このようなことが原因で、遅刻を繰り返してしまう場合は、
「前日の夜は早く寝る」だとか、「5分前に行動する」というような、
遅刻をしないために出来る様々なことを試す以前に、
自分が自分自身のことを、どのように感じているのかを知ってみることも、
遅刻をしないためにできることの一つだと言う。
今回私が耳にした話は、遅刻というシチュエーションだったけれど、潜在意識の現れ方は人それぞれだ。
注意をしても同じ行動を繰り返してしまう人や子どもと関わることになった場合は、
様々な視点から観察してみると、本人も気が付いていない本当の姿が、見えてくることもあるのかもしれない。
「ルールはルール」でもあり、遅刻癖を肯定しているわけではないけれど、
遅刻は、怠惰なだけの遅刻だけではなく、何かしらのサインとしての遅刻もあるようだ。
良い悪いの奥に、真実が。人の意識は魔訶不識である。
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