来年版のイヤープレートが目に入り、もうそのような時季かと思った。
イヤープレートとは、クリスマスプレートと呼ばれることもある陶磁器製の絵皿のことで、
毎年、その年限定の絵柄で生産されている。
どこのショップが毎年生産しているのか、その辺りはあまり詳しくないのだけれど、
イヤープレートと言って真っ先に思い浮かぶのは、デンマークのロイヤル・コペンハーゲンだ。
英国に住む知人たちの中には、毎年イヤープレートを買い足してコレクションしている人もいれば、
好みの絵柄に出会えた時だけ購入するという方、
結婚や子どもの誕生、その他の記念年にはイヤープレートを贈るという方、
また、誕生日の日には自分が子どもの頃に贈られたプレートでケーキをいただいている、という方などがいらっしゃった。
毎年、好みの絵柄のイヤープレートを手に入れることができるとは限らない為、宝探しにも似た気分が味わえるのだとか。
よくしていただいていたご年配夫婦のご自宅で、そのイヤープレートのコレクションを見せていただいていたときのこと。
絵皿を飾る習慣を辿ると日本の陶磁器に辿り着くのだけれど、日本でもイヤープレートを楽しむ習慣があるのか、と尋ねられたことがある。
もともと、ヨーロッパで使われていた食器は、手に入る素材や技術の関係で、木製のものか、粘土製の陶器がメインで、
透明感がある白い陶磁器は宝石のような扱いだったそうだ。
この宝石のように美しい白い陶磁器は中国生まれだったため、中国からの輸入に頼っていたのだけれど、
国の状況が大きく変わる時代の流れの中で中国からの輸入が困難になった際、
中国の白いそれとは異なる美しさをもった、日本の青や赤が使われた陶磁器が注目され、
ヨーロッパの貴族たちは日本の陶磁器をインテリア品として愛し、飾るようになったのだとか。
外国の習慣が、日本に渡ってきたような印象を受けることもあるけれど、
様々なきっかけや、ご縁が、このような習慣を生んだようである。
そして、このイヤープレートのことをクリスマスプレートと呼ぶことがあるのだけれど、
これは、クリスマスシーズンに入ると、ヨーロッパの貴族たちは、
使用人たちに1年間の感謝の気持ちを込めて、ご馳走やお菓子を振舞っていたのだけれど、
この時に、ご馳走だけでなく、お皿も一緒に贈っていたそうだ。
そして、ご馳走やお菓子と共に贈られたお皿に感激した使用人たちは、このお皿を大切に飾っていたと言い、
この辺りの出来事が、クリスマスプレートと呼ばれるきっかけであり、
お皿を飾るきっかけが一般的にも広がったきっかけだという説があるのだそうだ。
イヤープレート(クリスマスプレート)を目にすると、外国らしいもののように感じるけれど、
他国の技術や文化を素直に認めあった、やり取りの印であるような気もしている。
イヤープレートやクリスマスプレートを目にする機会がありましたら、
今回のお話をちらりと思い出していただけましたら幸いです。
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