少し前に、ヨーロッパを旅行中だという友人から、滞在中である街並みの写真が送られてきた。
街全体がクリスマスに包み込まれた、私にとっては少しばかり懐かしいと感じる風景だった。
真っ先に感じるのは華やかさや煌びやかな空気なのだけれど、年中行事本来の意味を知ると、その奥にある厳かさも同時に感じられるように思う。
あの頃は慣れない土地で、楽しいことも、たまに訪れるそうでないことも、それら全てを「経験だ」と思いながら過ごしていたように思う。
そして、その国で古くから受け継がれている年中行事を経験する度に、
自分の国にもあるはずであるそれらを十分には知らない自分や、知っているつもりでいる曖昧な自分を意識させられたりもした。
しかし、知らないものはこれから少しずつ、楽しみながら知っていけばいいだけの話であり、それを始めるのに、早いも遅いもない。
いつだって、何度だって、新しい一歩は踏み出せると思うようになったのも、あの頃だったように思う。
そのようなことを話し、楽観的だと笑われたこともあるけれど、悲観的で目の前を暗く染めてしまうよりいいじゃないか、と思う。
当時、そのような気持ちを抱きながら、知り合いのシェフたちと共にフルーツジャムとスコーンを大量に作ったことがある。
全ては、クリスマスプレゼントとして地域のお年寄りや、教会を訪れた人たちに配るためのものだ。
私は、その量の多さから、地域イベントの一環でジャムやスコーンを担当することになったのだろうと思っていたのだけれど、
自主的に行っていることだと聞いて驚いたことを覚えている。
誰もがしていることではないけれど、地域によっては、お店で購入したものではなく、手作りのものや自宅で収穫したものなどを贈り合う習慣があるのだと言っていた。
そして、この習慣の意味は、クリスマスや年末に食べ物に困る人がいないように。
お腹を空かしたまま過ごす人がいないように。
皆の手元に食べ物がありますように。という思いで気持ちを分け合うためのものなのだそうだ。
この時季、ジャムやスコーンを口にすると、当時のキッチンに広がっていた甘い香りとリンクするのか、この話を思い出す。
そして、様々な気持ちが胸の中に広がっていくのだ。
Merry Christmas!
今日も、ここへ足を運んでくださった皆さんと、皆さんの大切な皆さんが笑顔でありますように☆彡
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