幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

梅見月に見る梅から広がる春。

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次の予定まで時間が空いたため、その場から一番近くにある神社へ散策に向かった。

その日は、一段と冷え込みが厳しい日だったけれど、長く続く参道を歩いていると、体の内側からぽかぽかとした熱が広がるのを感じられた。

首にぐるぐると巻いていたストールを取り除くと、風の冷たさが心地よく、自然と呼吸が深くなった。

大木に囲まれた敷地内には、たくさんの梅の木も植えられていた。

普段であれば枝木を見ただけでは、その木が梅の木だとまでは判断できないのだけれど、

その日は枝先に、白や赤、桃色をした梅の花が点在していたため、そうなのだと分かった。

満開になるには、もう少々時間を要する梅の花だったけれど、2月の異名に梅見月(むめみづき)というものがあることも頷くことができるような、優しい景色だった。

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梅と言えば、松竹梅という言葉がある。

近年では、ものごとをランク付けする際に用いたり、ランク付けをあからさまにしないために用いられたりと、扱い方は使う側に委ねられている言葉である。

しかし、この言葉が初めて中国から初めて伝わってきたときは、歳寒三友(さいかんのさんゆう/さいかんさんゆう)という絵画の考え方、絵画のお題として伝わってきたと言われている。

歳寒三友(さいかんのさんゆう/さいかんさんゆう)、聞きなれない上に舌を噛んでしまいそうな言葉だけれど、

これは古の中国で多くの画家たちが、絵を描く際のお題として好んだものなのだそう。

歳寒三友(さいかんのさんゆう/さいかんさんゆう)を簡単に言い替えるならば、寒い時季に友にすべき3つのものという意味で、具体的には、松、竹、梅がこの3つを指すという。

古の中国の画家たちが描いた作品を目にする機会は、そう多くはないけれど、意識して見てみると、松竹梅の全てが盛り込まれた作品や、各々にフォーカスした作品が多いという。

もちろん日本にもこの意味として伝わってきたため、日本人画家たちによって描かれた作品や和歌にも、松竹梅にフォーカスしたものが多々あるのだけれど、

日本では、絵のお題としての歳寒三友(さいかんのさんゆう/さいかんさんゆう)よりは、

「松」の性質である落葉しない様子からは不老不死や忍耐強さ、長寿を感じ、「竹」の枯れない様や真直ぐ伸びる性質からは子孫繁栄を、

「梅」の厳しい寒さにも負けずに花を咲かせる様子からは、生命力や長寿、気品や気高さといったものを感じたことから縁起物としての用途が主軸になったようである。

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そのようなことを頭の片隅で思い出しながら神社内を散策していると、深い赤色が素敵な梅の花のそばに、うぐいす色をした鳥が止まっていた。

直ぐに飛び立ってしまったため、その鳥がウグイスだったのか、メジロだったのかは分からないままだけれど、自然が放つ色のコントラストの美しいこと。

中途半端に空いた時間だったけれど、またひとつ春を見つけられた気がした。

梅の花を目にする機会、もしくは飲食店などで「松竹梅」の文字に触れる機会がありましたら、

頭の片隅で今回のお話をちらりと思いだしていただけましたら幸いです。

画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/