その日は、目には見えない様々な寒さ対策を施した鉄壁のガードで外出したのだけれど、冬の寒さは侮れない。
駅に着くころには体も温まるだろうと予測していたというのに、私の鉄壁のガードの遥か上をいく寒さなのか、私の代謝が悪いのか、一向に温まる気配がしない体にやきもきしながら電車に乗った。
その直後だ、20代前半くらいの女性が勢いよく乗ってきた。
出入口そばの座席を背もたれにして、その女性と横並びに立っていたのだけれど、周りの乗客の視線が、こちらに向いているような気がして、私は自分の身なりを軽く確認した。
その途中、隣に立っている女性のお顔を視界に捉えたのだけれど、耳に輪ゴムがぶら下がっていたのだ。
しかも、その数2本である。
どうやら周りの視線は私ではなく、女性の耳にぶら下がっている輪ゴムだということが分かった。
このような時、どう対処するのが正解なのだろうかといつも思う。
その輪ゴムが、20代前半の女性たちの間で流行っている何かしらだったなら、指摘するのはお節介である。
10分ほど電車に揺られていたのだけれど、周りから向けられる視線が止まず、失礼かもしれないけれどという前置きのもと小声で、耳に輪ゴムが……と言ってみた。
すると女性は、文字で記せないような声をあげ、いつから気が付いていたのか、早く教えて欲しかったと矢継ぎ早に発しながら私の肩をバシバシと叩いてきた。
あぁ、恥ずかしかったんだな、分かるよ、分かる。
そう思いながらも、一斉に彼女と私に向けられた視線に私も若干の恥ずかしさを覚え、「火の粉が私にも」と心の中で思ってしまった。
しかし彼女は、恥ずかしさを共有した私に対して細やかな仲間意識が芽生えたのか、輪ゴムを耳にかけると小顔効果や肩こり解消効果などがあっていいのだと教えてくれた。
その日の夜、東洋医学だろうか、ツボの話だろうかと情報を収集してみると、
歯科医である佐藤青児医師が考案した健康や美容法のひとつで、さとう式リンパケアという名で数年前に話題になっていたことを知った。
はじめは、顎関節症の痛みを緩和させるためのケアとして考案したそうなのだけれど、
耳には数えきれないほどのツボがあるからか、
顎関節症の傷みを緩和させる以外の、小顔効果やフェイスラインの引き締め、むくみ緩和、肩こりの緩和なども期待できるケアとして知られているという。
以前、幸せのレシピ集内でも耳ツボの話題には触れているのですが、この耳ゴムも同じ視点でのケアではないかと思うのです。
ただ、耳のマッサージと異なることは、自分でマッサージするのではなく、ゴムを耳にかけて10分程度過ごすだけ、なのだそう。
身支度をしながら、食器を洗いながら、お料理をしながら、テレビを観ながら、バスタブに浸かりながらといった具合に、ついでにケアができる手軽さが話題になった理由のようだ。
ゴムはきつくする必要はなく、軽い刺激だけでも十分に、耳の近くのリンパの流れや血流を良くし、様々な嬉しい効果をもたらしてくれるという点もポイント。
ちなみに私は、この耳ゴムを知ってから2ヶ月ほど地味に試しているのですが、
口もと付近のフェイスラインを整えるケアになるなという印象を受けています。
首や肩のコリまでケアしたい場合には、自分の手を使って耳をほぐす方が早く効果を感じられるように思いますが、
女性は何かと忙しいため、フェイスラインや浮腫みは輪ゴムにお任せ、というのも手ではないかと思います。
ただ、言わずもがなではありますが、私が電車内で出会った女性のように、
うっかりそのまま外出してしまわぬよう、お気をつけあれ。
手軽に楽しく少しずつ、健やかさをアップさせるヒントにしていただけましたら幸いです。
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