好きなフルーツは何かと問われたら、迷うことなくグレープフルーツと答えるのだけれど、ここ最近は口にしていないことに気が付いた。
不思議なもので、それまで口にしていないことに違和感を覚えることも、強く欲することもなかったというのに、気が付いてしまった瞬間、食べたくてたまらなくなるのはどうしてだろうかと思う。
品種を変えて通年で楽しむことができるグレープフルーツは、スイーツの材料に使われることも多く、
出先のメニューでも頻繁に目にしていたはずなのだけれど、ここ最近は、目にする機会が減っているような気がした。
私の気分が、グレープフルーツから遠退いていただけだという気も無きにしも非ずだったため、次にグレープフルーツを口にする機会を心待ちにしておこう、そう思った矢先だ。
現在、グレープフルーツの消費支出量は年間で半分以下にまで下がっており、消費量も6割減になっているという記事を目にした。
これは、総務省が行う家計調査をもとにした記事だったのだけれど、
家計調査といのは、例えばお肉の消費量は増えているけれど、お魚の消費量は減っているだとか、この地域はパンの消費量がお米の消費量より多い地域だといったことを、
毎年の調査結果から出る細かな数字を様々な角度から分析し、現在の食の傾向や日々の暮らしの様子から時代の傾向を見るというもの。
これまでは、グレープフルーツ単品での項目があり、そこから世の中の傾向を見ていたようだけれど、現在のグレープフルーツは消費量がグンと下がっているため、
今後は、柑橘類というざっくりとしたカテゴリーで一括計上しても良いのではないかという話が上がっているのだとか。
以前は、グレープフルーツの新種のような形でスウィーティーなるものが登場し、世の中にスウィーティー味のものが多々登場したけれど、
その後は、見た目や味の新鮮みもすっかりと落ち着き、他の柑橘類の新種登場やブームに押されて地味な存在となり、トレンドではないということのようだ。
消費量が減れば店頭に並ぶ量も限られてくるだろうし、人々が欲することがなければ飲食店で使用される機会も自ずと減るということなのだろう。
私自身、グレープフルーツ好きを公言していたにも関わらず、最後にグレープフルーツを口にしたのは思い出せないくらい前のことである。
トレンドを追うことも楽しいけれど、ひとつのトレンドが生まれる裏側には消えゆくかつてのトレンドがあるということでもある。
“まあまあ好き”だと言えるものは多々あれど、“本当に好き”だと言えるものを見つけることは意外と難しい時代なのかもしれない。
誰かが思う“好き”を自分の“好き”にするのではなく、自分が思う“好き”を暮らしの中に。
そのようなことを感じるきっかけとなったグレープフルーツの今である。
今日も、あなたが感じる“好き”を感じてみてはいかがでしょうか。
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