暖かい日差しと少し冷たい風の塩梅が絶妙で過ごしやすいと感じたその日。
私は、大きな公園内を縦断して目的地へ向かうことにした。
自然に触れる機会が少ない生活を送っていると時折、無性に自然を欲することがあり、体は本当に正直だと思う。
公園内の縦断はショートカットも兼ねているけれど、公園内の木々や季節の花を視界の端で捉えながら向かう時間もいいものである。
公園内ポツリポツリと設置してあるあずまやには、高校生たちが座っていた。
ノートを広げているグループ、スマートフォンを触りながらお喋りをしているグループ、とても楽しそうに笑い声をあげているグループと、あずまやごとに異なる雰囲気を発している様が微笑ましかった。
その後、空席のあずまやの前を通り公園の出口付近にさしかかった頃だ。
スナック菓子をお箸やトングで食べながらスマートフォンを触っているグループを目にした。
彼らの器用な手捌きをチラ見しながら、少し前に目にした記事にあった、若者たちのスナック菓子離れの原因を思い出した。
挙げられていいた原因はひとつではなかったものの、一番の原因はスナック菓子を食べるときに手が汚れてしまい、スマートフォンの画面を汚してしまうというものだった。
時折話題に取り挙げられている、スナック菓子は直接手で食べる派か、お箸で食べる派かという二者択一の話題があるけれど、
スナック菓子の売れ行きを左右したり、二者択一が生まれるくらいスマートフォンは常に携帯されているもののひとつということなのだろうと思う。
私はスナック菓子をあまり食べないため、指先の汚れを気にする機会そのものが少ないため、
お箸やスナック菓子専用のトングを準備するということはないけれど、その代わりにウェットティッシュを準備しているように思う。
ただ、学生の頃は指先の汚れが気になり、お箸で食べるということも時々していた。
しかし、今と異なるのは、その行為を当時の友人たちにカミングアウトした際、「変だ」「手を洗えば済むじゃないか」と言われ、少しばかり肩身の狭い思いをしたことを薄っすらと思い出した。
今であれば、直接手で食べる派もお箸や専用トングを使う派も、それなりに市民権を得ているのだけれど。
一般的な感覚というものは、こうしていとも簡単に変化するのである。
それにしても、各々がきれいな色をしたトングを持っていたけれど、あれはマイトングだったのだろうか。
公園を出た私は、早速スナック菓子専用トングを検索した。
そして、使う予定もないというのにどのトングを選ぼうかと、トングのカラフルさに心弾んだのである。
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