その日は、この時季にしては珍しく雨がぱらついていた。
空には、前日までの晴天の記憶を掻き消してしまうような、薄グレー色をした雲が広がっていた。
予想以上に早く底をついた牛乳を買いに行くべきか、行かざるべきか。
しばらく外を眺めていたのだけれど、雨によって少しは澄んだかもしれない空気を吸いがてら出かけることにした。
太陽が恋しいこんな日は、ビタミンカラーのイエローを小物で忍ばせて、気分を少し上げていく。
ちょっとしたことだけれども、この“ちょっと”が“いつもの暮らし”にとっての差し色になるように思う。
自分自身に対する心遣いも必要で、侮れないのである。
到着した店内は、お天気に左右されることなく賑わっていた。
手にしたカゴに商品を投入していたのだけれど、何かを入れ忘れている気がした。
しばらく、買う必要がない陳列棚を見回りハッとした。
そうそうそう、牛乳!
雨がぱらつく中、出かけてきたにも関わらず牛乳を買い忘れて帰宅したとあれば、上げた気分も駄々下がりである。
思い出したことに胸を撫でおろし、意識が他の物へと移ってしまう前に牛乳をカゴに入れることにした。
いつもの牛乳をカゴに入れながらズラリと並ぶ牛乳を眺めると、低脂肪牛乳や特濃牛乳といった加工乳の種類もずいぶんと多いことに気が付いた。
ワタクシ、以前は特濃牛乳の特濃とは、スペシャルに味が濃い牛乳だと思っていたことがある。
だから、どれ程の濃さなのだろうかと飲み比べのようなことをしてみたことがあるのだけれど、特濃と謳われているからといって味が濃いわけではないような印象を持っていた。
そのようなときに、偶然足を運んだ物産展に出店していた乳製品業者の方のセールストークの中で、そのカラクリを知ることとなった。
今回は、そのようなお話を少しと思っております。
牛乳を召し上がる機会があるという方は、ちらりとのぞいていって下さいませ。
ここで言う「特濃牛乳」というのは、「4.5」「5」といった数字が印字してある牛乳のことで、そのほとんどのものは、人の手によって脂肪分が調整されている加工乳です。
この数字は脂肪分の割合を示したもので、一般的な通常タイプの牛乳の脂肪分は3%ほどなので、ここにクリームやバター、その他の脂肪分を加えて4.5%や5%に調整してあります。
脂肪分が高い牛乳のメリットのひとつは、牛乳の脂肪分の美味しさを必要とするスイーツや飲み物、お料理などに少量加えるだけで味を調えられる点でしょうか。
このようにお伝えすると、「4.5」「5」といった数字が印字してある牛乳は全て、クリームやバターを加えた加工乳だと思ってしまう方がいらっしゃるかもしれないので補足しておきますと、
人の手が加えられている牛乳には「数字+加工乳」と印字されています。
そして、人の手が加えられていないにも関わらず脂肪分が「4.5」「5」と高いスペシャルな牛乳は「数字+成分無調整」と印字されています。
そして、脂肪分が3%辺りの一般的な牛乳から脂肪分を取り除いて脂肪分の割合を抑えた加工乳が「低脂肪牛乳」「無脂肪牛乳」ということです。
「4.5」「5」といった数字が印字してある特濃牛乳にも、人の手によって脂肪分を加えられた加工乳と、
もともと脂肪分が濃い成分無調整乳とありますので、好みで選び分けると良いようです。
更に、お菓子作りに使いたい、脂肪分の美味しさを必要とするメニューや飲み物に使いたいということであれば特濃牛乳を選び、
普段は健康志向のものを口にしたいという場合には、脂肪分が3%前後の通常タイプや、より脂肪分を抑えた低脂肪タイプを選ぶと良いのだそう。
ひと口に「濃い」と言っても、言葉の意味は様々。
脂肪分が低くても、牛乳の味そのものが濃いものや、コクを感じられるもの、牛乳そのものの風味がしっかりと感じられるものとあるため、
通常タイプや低脂肪タイプの牛乳も飲み比べをしてみると、これらの中にも、自分好みの「濃さ」のものがあるといいます。
この選び方のポイントを知っていれば、その時々で必要な牛乳を選んだり、牛乳の飲み比べを楽しんだりできるのではないかと思います。
何かしらのヒントにしていただけましたら幸いです。
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