野菜の旬。
知っていたはずなのに、便利でいつ何時でも何でも手に入る日々にすっかり慣れてしまい、曖昧になってしまっている。
そのようなことを感じたことがキッカケだったように思う。
今、本当に食べ頃なのは何なのだろうかと気まぐれで野菜の世界をのぞくようになった。
のぞきはするものの、旬のものにしか手を伸ばさないといったようなストイックさや偏りは一切なく、便利を手放すこともできないので、食生活が大きく変わったというようなことはない。
だけれども、旬を迎えている野菜に意識を向けて食してみると、本来の味が濃いことが分かり、数か月前より美味しい気がするといったような、ちょっとした喜びを感じられるようになってきた。
美味しいと感じたものには、手が伸びる機会も増えるのだけれど、旬を迎えている野菜には不思議なことに、その時季に人の体に必要な栄養素が豊富に含まれているだけでなく、その栄養素がグンと増しているのである。
このようなところにも、本来の共存のカタチが見え隠れしているように思う。
難しいことを考えなくても、旬のものを楽しく美味しく味わうだけでも十分に、その時季に必要な栄養を摂ることも、五感を刺激し感度を高めることもできるなんて、ある意味お手軽である。
「食事=カロリー摂取」という考え方もあるけれど、その時間や空間に様々な豊かさを加えられる視点が沢山含まれているのが食事、そのような考え方もある。
どの視点をどれくらいトッピングするのか、しないのかの選択や判断は、個々に委ねられているのだけれど、私は自由に楽しくトッピングしてみることにしている。
その日に立ち寄ったお店には、らっきょうが並んでいた。
ちょうど今頃から夏にかけて旬を迎える野菜で平安時代には既に食されていたもの。
安定した美味しさを長く楽しむために、甘酢やハチミツなどに漬けて保存されることが多いけれど、私はこの時季、生のものをスライスして水にさらしたものをサラダ野菜に合えたり、薬味と一緒に、あとは天ぷらなどにしたりしてモリモリいただくのが好きである。
さすがに、らっきょうばかりを食べるわけにもいかないのだけれど、シーズン中ならではのメニューを通して夏を感じるのが、この時季の恒例である。
酢漬けのものは1日3粒ほどで、コレステロールを下げたり、血の巡りを良くしたり、便秘の改善やがん予防にもひと役買ってくれると言われている。
他にも疲労回復や食欲増進など、なかなか頼りになる食材である。
私はタルタルソースを作る際、玉ねぎを刻んだりピクルスを準備するのが面倒なときに、らっきょうの甘酢漬けを刻んだもので代用する。
手軽な上に、食感や酸味、甘味のバランスが良く、短時間で準備することができる点が気に入っている。
酢漬けのらっきょうは好き嫌いがあるようですが、生らっきょうは調理方法を変えると食べられるという方もいらっしゃいます。
初夏のちょっとしたトライメニューに、健康維持や疲労回復に、らっきょうの新たな味わい方を求めて、楽しんでみてはいかがでしょうか。
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