手帳に印字してある七十二候は、春の兆しに誘われて草木が芽吹き始める頃を知らせる「草木萌動 (そうもくめばえいずる)」の時期に入っていた。
もうしばらくの間、地上にいる私たちはアウターを完全には手放せないように思うけれど、地中では既に気温が上がり始めて雪が溶け、空気も暖まり、満を持して草木が動き出すようだ。
先日は、通りすがりの生け垣の隙間から萌黄色をした細い茎が伸びており、その先で黄色い花が揺れているのを目撃した。
また別の場所では、割れた地面の上を這うようにして伸びた雑草の中にピンク色の小花がいくつも咲いていたし、塀の僅かな隙間からも、日差しを求めて顔を出したような紫色の小花が風に揺れていた。
私の体感温度は、春の兆しに追い付いてはいないけれど、これはもう、春の兆しではなく春じゃないかと、植物たちを見て思った。
分かりやすい春の風景も良いけれど、こうした隙間から顔をのぞかせている春の植物を見つけると、何だか微笑ましくて、降り注ぐ太陽までもが笑っているような気がしてしまうのだから、春は不思議な季節である。
逃げるようにして去っていった2月には木の芽月(このめづき)という異名があり、この頃に降る雨を木の芽起こしの雨(きのめおこしのあめ)と呼ぶのだけれど、木の芽起こしの雨(きのめおこしのあめ)が降る度に、季節は春へと近づいていくと言われている。
実際に今年の2月の下旬頃にはシトシトと雨が降る日もあり、まだまだ先人たちの暦が通用する環境であることを思うと、ほんの少しホッとしたりもする。
よく、季節の変わり目に降る雨が次の季節を連れてくるだとか、ひと雨降るごとに次の季節に近づいていくなどと言うけれど、季節の変わり目に降る雨は、植物や大地に必要な栄養であり、私たちにとっても気持ちや体を次の季節に慣れさせるために必要な、まさに恵みの雨ということのようだ。
こうして暦の上でも自然界でも春が動き出したわけですが、世の中には不安を募らせるような報道が行き交っています。
このような時だからこそ、遊び心や笑顔を忘れずに、しなやかな気持ちを持てればと思います。
外出できないことを不自由に思ってしまうとストレスをため込んでしまいますが、この機会に断捨離をしてみるだとか、ストレッチをしてみるだとか、本や漫画を読んでみる、ゆっくりお風呂に浸かってみる、豪快にお昼寝を楽しんでみる、今年の目標を見直してみる、全力で頑張らない時間を満喫してみる、暖かくなったらしてみたいことを考える……など。
普段できないことや、気になっていたことにトライする時間に使ってみたら、ストレスタイムを充実したハッピータイムに変えられるようにも思います。
また、お子さんがいらっしゃるご家庭では、食事を用意する回数が急に増えることが様々な負担に繋がることもあります。
完璧でなくても大丈夫。
肩の力を抜いて、出来ることを出来るときに、出来る方法で出来る分だけで大丈夫だと、自分で自分にOKサインを出してくださいませ。
きっと、どのような時も自分次第で如何様にも変えられます。
だから、春を祝う「ひな祭り」の本日も、ご機嫌スマイルでまいりましょうね☆彡
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