幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

幻のコーヒーは人とルアックの共同作業。

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窓を開け放つと外から暖かい風が流れ込んできた。

あまりにも心地良くて、本を数冊手に窓辺へと移動した。

寝転がって気になっていたページを捲っていると、外からコーヒーの香ばしい香りがした。

挽きたてのコーヒー豆に少量のお湯を注いで蒸らしているときに広がる、濃くて深いコーヒーの香りのようだった。

コーヒーは得意ではないけれど、とても魅力的な香りをしているものだから、この日もつい、目を閉じて香りのお福分けをいただいた。

コーヒーと言えば、私の中で幾つかのイメージが浮かぶ。

その中のひとつは、フィンランドを舞台にした「かもめ食堂」という映画に登場する、コーヒーを美味しく淹れるおまじないのシーンである。

おまじないは、フィルターをセットしたドリッパーに挽きたての豆を入れ、豆の中央に人差し指を軽く押し当ててコピ・ルアックと唱えてから、お湯を注ぐというものだ。

初めてそのシーンを目にした時には、フィンランドにはこんな洒落た呪文があるのかと思ったけれど、後にコピ・ルアックとは、おまじないではなく、貴重なコーヒー豆の名だと知るのである。

そして、そのコピ・ルアックがコーヒー豆に仕上げられる過程に驚き、コーヒーに詳しくない私でも、お目にかかる機会があれば飲んでみようと思っている一品だ。

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コピ・ルアックは、インドネシアの最高級コーヒー豆のこと。

コピとはインドネシア語でコーヒーを、ルアックはジャコウネコのことだという。

このルアック(ジャコウネコ)、熟したコーヒーチェリー、コーヒーの実だけを選んで食べる習性があるのだとか。

丸ごと食べてしまうので、コーヒーの実の果肉部分は腸内で消化されるようなのだけれど、コーヒー豆になる種の部分だけは消化されることなく、排泄されるのだそう。

人間は、この排泄されたコーヒーの実を集め、洗浄し、乾燥させてコピ・ルアックという名のコーヒー豆を作っているようだ。

コピ・ルアックの美味しさの秘密は、ルアック(ジャコウネコ)の消化酵素や腸内細菌による発酵が、コーヒー豆に独特の香味を加えているという。

生きているルアック(ジャコウネコ)がコーヒーチェリーを食べ、排泄してくれることで作ることができるコピ・ルアックは、大量生産が難しいことから高級品として扱われているのだけれど、

近年では、ルアック(ジャコウネコ)の数が大幅に減少していることも重なり、コピ・ルアックは幻のコーヒーとも呼ばれているそうだ。

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コーヒー豆が出来るまでの過程を知り、複雑な思いを抱かなないこともないのだけれど、コーヒー好きを唸らせる幻のコーヒーがどのようなものか、純粋に経験してみたい。

そのようなことを思い出しながら、ティータイムのおともに買っておいたコーヒーフレーバーのマシュマロを紅茶と口にした午後である。

コピ・ルアックの名を目にする機会がありました折には、今回のお話をチラリと思い出していただけましたら幸いです。

画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/