幸せのレシピ集

cawaiiとみんなでつくる幸せのレシピ集。皆様の毎日に幸せや歓びや感動が溢れますように。

遅れ馳せながら深く納得したタイトル。

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何年振りだろう、久しぶりに映画雑誌のキネマ旬報(きねまじゅんぽう)を手に取った。

ある程度の映画情報はネット上で簡単に入手できることもあり、いつの間にか手に取らなくなってしまった雑誌だけれど、ネットとは異なる、紙面ならではの丁寧さは相変わらず良いものである。

久しぶりということもあり、活字を追う目に自然と力が入ってしまったようで、頁を閉じたそれをテーブルに置いて目を閉じると、目の奥が、じわーんと熱を帯びたような気がした。

そんな、心地良い疲労のようなものを感じながら目を開けると表紙に印字されている「旬」の文字がやけに艶めいて見えた。

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「旬」と言う文字は、上旬、中旬、下旬といった、ざっくりとした時期を表す際に使われることがあるけれど、干支がもとになっているという話がある。

干支と言えば、子、丑、寅、卯……というお馴染みのアレを思い出すけれど、実は、干支という言葉は「十干十二支(じっかんじゅうにし)」を略したもので、

子、丑、寅、卯……は十二支なので「干支」の「支」の部分で、

「干支」の「干」の部分は、十干(じっかん)と呼ばれる甲、乙、丙、丁……と続くアレである。

お正月に神社へ行くと「丙午や「甲虎」といった表記を見たことがある方もいらっしゃるかと思うのだけれど、これが十干と十二支をセットにした正式な「干支」と呼ばれるものだ。

そんな「十干十二支(じっかんじゅうにし)」だけれども、もともと十干は空間(方角)を表し、十二支は丑三つ時という表現があるように時間を表しているため、

これを、「年、月、日」に当てはめてみると十干は10日で一区切りになることから、この一区切りを「旬」と呼ぶようになったと言われている。

そして、1か月30日を十干(=10日)で区切ると3つに分けることができるため、順に上旬、中旬、下旬と呼ぶようになったそうだ。

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この干支を使って10日ごとに区切る考え方は陰陽道がもとになっているのだけれど、中国には、10日ごとに区切るという考え方のもとになっている神話がある。

その神話は、「その昔、太陽は10個あった」というものだ。

神話の中に登場する10個の太陽たちは、毎日1個ずつ順番に昇り、10日間で一巡していたことから、「10日間=旬」という単位ができたのだとか。

しかしあるとき、太陽たちは1個ずつ順番に昇ることに飽きてしまい、10個まとめて一斉に空に昇ってみたのだそう。

すると、10個の太陽に照らされた地上は、気温が上昇しすぎて大変なことになったため、当時の皇帝は、9個の太陽を打ち落とすよう弓の達人に命じたそうだ。

その結果、10個もあった太陽は1個になり現在に至るという神話だ。

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そのようなことを思い出しながらキネマ旬報を視界の端に捉えていたのだけれど、ふと、本当は月に3回刊行されていた雑誌なのではないだろうかと思い調べてみると、はじめは、毎月1日、11日、21日に発行されていたことが分かった。

ぴったり、上旬、中旬、下旬の初日である。

だから「キネマ旬報」というタイトルなのかと、遅れ馳せながら深く納得した日。  

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