6月の楽しみは、大好きな紫陽花の切り花を買うことだ。
ブルーや淡いグリーンのものを手に取ることが多いけれど、ピンクやパープルの紫陽花に目移りすることも。
どの色も素敵すぎて決めることができないときには、純白の紫陽花にグリーンの葉を合わせることにしているのだけれど、こうして迷う時間も紫陽花の醍醐味のひとつだ。
そして、色づき始めた紫陽花を外出先で見かける度に、梅雨の気配が増していくのだけれど、今年もそろそろ、そのような頃である。
梅雨と言えば、「梅」の字が使われているけれど、本来は栗の花が落ちる様子が語源だという説がある。
このような説があることからも分かるように、栗の花は梅雨の時期に咲くのである。
秋の味覚の代表とも言える栗なので栗と言えば秋の印象が強いけれど、先人たちは栗の花の開花を梅雨入りの合図としていたようだ。
栗の花と聞いてもピンとこないことが多いけれど、栗の花は、猫じゃらしの異名を持つ狗尾草(えのころくさ)の巨大版といった見た目をしている。
栗の花は、小さな花が密集して狗尾草(えのころくさ)の巨大版のようなものを形作っており、色は、葉っぱのグリーンに映える爽やかなオフホワイト色。
それが藤の花のように何本も垂れ下がって風に揺れるのである。
幾つもの特徴があるため、栗の花は一度目にすれば不思議と記憶に残るように思う。
このようなビジュアルをした栗の花が咲く季節が5月から6月なのだけれど、先人たちは栗の花が散る頃を「栗花落(つゆり)」「墜栗花(ついり)」と呼んでいたそうで、
「つゆり、ついり」が時代を経る中で「つゆいり」と呼ぶようになり、更に栗の花から梅へと変わり、現在の「梅雨」に至っているというのだ。
見応えあるビジュアルをしている栗の花だけれど、花の香りは、「香り」という表現よりも「におい」と表現する方がしっくりくるような強い癖があり、好き嫌いがはっきりと分かれるタイプの香りをしています。
ちょうど今、栗の花が開花する時期ですので、梅雨入りを知らせる花を楽しみつつ、この時季ならではの香りの「好き」や「嫌い」を楽しんでみてはいかがでしょうか。
何気ない日常の中にある小さな発見や新たな経験のキッカケにしていただけましたら幸いです。
画像をお借りしています:https://jp.pinterest.com/