エアコンの設定温度を一度上げた。
完全にオフにすることはできないのだけれど、秋が近付いてきているように感じた。
日常を見渡してみると、空が高く感じられる瞬間も増えつつあり、至る所に秋の気配があった。
その日は、お気に入りの大きなマグカップになみなみと注ぎ入れたルイボスティーを、零さぬように慎重にベランダへ運び出し一息ついた。
改めて見上げた空は高く、手を伸ばせば届きそうな位置にあったむっちりとした肉厚の入道雲は、いつの間にか、フワフワなうろこ雲に変わっていた。
残暑は厳しいけれど上空にある大気の乾燥は着々と進んでおり、雲が現れる位置も高くなっているのだろう。
うろこ雲は、この呼び名以外にも「いわし雲」などと呼ばれることもあるけれど、この手の雲を目にするようになると鰯や鯖、秋刀魚といった青魚が収穫期を迎える。
そして、いわし雲が現れると鰯が大量に獲れる豊漁の兆しなのだとか。
しかし、先人たちが残してくれたこのサインも、通用しなくなりつつあるのかもしれない。
先日は、秋刀魚が獲れなくなり価格が上がっているというニュースを目にした。
鰯に続いて秋刀魚もかと、思った。
青魚好きとしては、秋刀魚に大根おろしと酢橘を添えていただく秋の定番メニューが幻メニューとなってしまうのは、困りものである。
鰯は小骨が多く足が早く生臭いというイメージが強いらしく、好みが分かれる魚だけれど、鰯と一口に言ってもその種類は300種類以上もあると言われており、多くの方が何かしらのカタチで口にしている魚である。
この鰯も、漁獲量が年々減っており、近い将来は幻の魚になるだろうと言われている。
そのような話題があがったとき、鰯は食べないから関係ないという方もいらっしゃるのだけれど、鰯は「海の米」「海の牧草」という異名があり、マグロやカツオ、その他の魚たちのエサでもある。
もし仮に、その多くの魚たちのエサである鰯が全く獲れなくなったとしたら……。
海の中の生態系は大きく崩れ、私たちにも食料難という危機がやってくることは容易に想像できることである。
そのようなことを思っていたものだから、この日の夕食のメインには秋刀魚に大根おろしと酢橘を添えていただく秋の定番メニューが浮かんだのだけれど、獲れなくなってしまう前に食べておかなくてはとも思った自分に笑ってしまった。
本当に必要なことは、そのようなことではないのだけれど、その意識が先に立ってしまうあたり、ワタクシ、まだまだである。
青魚には夏のダメージや疲れを癒す栄養がたっぷりと含まれておりますし、良質なたんぱく質と脂は、美容や健康の土台づくりに欠かせません。
アレルギーがなく、お嫌いでなければ、近日中の夕食メニューにいかがでしょうか。
そうそう、冒頭のいわし雲の話に戻りますが、この手の雲が空に現れた時には豊漁のサイン以外に、雨が降るサインでもあります。
その日のうちに降り始めるという急なお知らせではないようですが、翌日から2日後辺りに降ることが多いので、お出かけのご予定がある方は念のため、折り畳み傘を鞄に忍ばせておくと良いのではないかと思います。
そろそろ秋の幕開けでございます。
小さな秋を見つけながら、今年の秋を今できる全力で楽しみたいものです。
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