幸せのレシピ集

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「読書気分で要点だけをつまみ食い|小野小町の恋物語、百夜通い(ももよがよい)を覗いてみませんか?

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夜風が随分と冷たく感じる季節になりました。

私にとっては、ベランダに長居をしても「蚊に刺されてしまうのではないかしら?」

という余計な心配をしなくてもよいありがたい季節です。

最近は、頭の中に思考が散乱していて窮屈さを感じていたので、

ちょっとした気分転換に温かい紅茶にスプーン一杯のハチミツを垂らしたマグカップを手に

ベランダで夜空を見上げておりました。

何気なく口にするティースプーン一杯のハチミツだけれども

ミツバチ一匹が一生をかけて集められるハチミツはこれと同量。

そして、ハチミツは誰の命を奪うこともなくいただくことができる貴重な恵み。

そのようなことを思い出すと、

優しいハチミツの甘さがいつにも増してじんわりと胃に染み渡ります。

 

そしてこの日の空には上弦を過ぎ、日に日にふくよかさが増していく月が浮いておりました。

毎夜、こんなにもきれいな月を眺められるのであれば、

「百夜通い(ももよがよい)」も少しは楽しいものになるのだろうかと思ったり。

百夜通いというのは、皆さんもご存知の美女で天才歌人の小野小町に恋をした、深草少将の恋のお話です。

読書の秋と申しますし、せっかくの機会ですので、

いつもの如くサクッと簡単にご紹介してみましょうか。

 

小野小町は平安時代の前期頃に名を馳せた天才歌人です。

日本では世界三大美人の一人としても知られている小町ちゃんですね。

※しかし、小町さんを世界三大美人の一人として数えているのは日本人のみでございます。

彼女の歌は小倉百人一首にも入っておりますので、

耳にすれば何となく記憶にある、という方も多いかと思います。

そんな才色兼備な小町ちゃんに深草少将という方が恋をしてしまいます。

深草くんも十分な教養をお持ちで身分のある方で、

現代の言葉を借りるなら肉食系の押しの強いお方だったようです。

押しの一手で小町ちゃんにプロポーズをした深草くん。

しかし、小町ちゃんのタイプではなかったのでしょうね。

何とか自分のことを諦めてもらおうという思いから、

深草くんにこのような条件を突きつけます。

 

「本当に私のことを想ってくださっているというのなら、毎夜、100夜続けて私のところへ通ってくださるかしら。深草くんにそれができたのなら、あなたの気持ちに応えしてもよろしくってよ。」と。

 

深草くんも身分のあるお方です。

このような事を言われた時点で空気を読んで身を引くところですが、

恋心が勝っていたのでしょう。

小町ちゃんの言葉を信じ、雨の日も、嵐の日も、風の日も通い続けたのです。

もちろん、通ったからと言って会えるわけではないのですよ。

ただ、自分が通ってきたという印を残すためだけに

遠い遠い道のりを自分の足で通い続けたのだそう。

しかし、あと一歩という99日目の夜に病により命を落としてしまいます。

(※大雪によって凍死したという説、橋ごと流されたという説もあります)

 

小町ちゃんは深草くんのことなどタイプではなかったようですし、

何とも思っていなかったからこそ言えた無理難題。

しかし、次第に深草くんがやってくるのを楽しみにするようになっていたのだとか。

だけれども、時すでに遅し。

彼とは言葉すら交わすことが叶わなくなってしまったのです。

これが百夜通い(ももよ通い)のお話です。

 

とても熱いお話なので現代でも様々なアレンジが加えられて語り継がれております。

平安時代には、こんな恋もあったのね、と思ってしまいますが

様々な角度からの検証の結果もあり、これは史実ではないと言われております。

「なーんだ、フィクションか」

という声が聞こえてきそうですが平安時代版の恋愛ドラマといったところでしょうか。

いつの時代もこのようなドラマは人の心に響くようでございます。

 

その日の私は夜空を見上げつつ、

この、深草くんの「百夜通い(ももよがよい)」のお話に思いを馳せておりました。

暗闇をひたすら歩く辛い夜もあったでしょうけれど、

こんなに優しい月が空に浮く夜ならば、

愛する小町ちゃんを想いながら蹴鞠でならした足でスキップでもしたのだろうかと。

夜空を見上げる機会がありましたら、

小町ちゃんの、ある恋の物語、を思い出していただけましたら幸いです。

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