先日、知人たちと話をしていたときのこと。
期間限定のアート作品で公開期間は既に終了したとばかり思っていた
現代美術家・久保田沙耶さんから生まれた「漂流郵便局」が
今も多くの人々の気持ちを受け止め続けているのだということを知り、
私は胸が熱くなりました。
時空を越えて届けたい思いを言葉にして解き放てるのだとしたら、
届くはずのない思いを解き放てるのだとしたら、
あなたはどうしますか?
あなたには誰にも打ち明けられない、解き放ちたい思いはありますか?
漂流郵便局は、
瀬戸内海に浮かぶ香川県三豊市の粟島に2013年10月に開局しました。
しかし、日本郵便とは関係がなく、1991年まで郵便局として使われて建物を
久保田沙耶さんが丸ごと使って「漂流郵便局」というアート作品にし、命を吹き込んだのです。
建物自体が纏っている趣のあるリアルな空気と久保田沙耶さんの感性が相まって
現実世界とそうではない何処か別の世界の狭間に在る存在のように感じる作品です。
漂流郵便局が在る粟島には、様々な物や人が流れついたのだそう。
現在は漂流郵便局が、届け先不明のメッセージを
いつの日か宛先が分からない誰かに、何かに、届く日まで
漂流私書箱に手紙を漂わせて預かってくれるというのです。
もう会うことが出来ないあの人へのメッセージ、
過去の自分、未来の自分へのメッセージ、
神様宛てのメッセージや、未来の大切な人へのメッセージ、
あの時、あの日の誰かや、あの時見た大きな木や景色に宛てたメッセージなど、、
「漂流郵便局」は、いつの時代のどんな人、もの、にも
時空を越えて誰でも自由にメッセージを送ることができる郵便局なのです。
届けたい想いは漂流郵便局へ局留めで必ず葉書きで発送します。
【漂流郵便局・宛先】
「〒769-1108 香川県三豊市詫間町粟島 1317-2 漂流郵便局留め」。
【宛名】
あなたが想いを届けたい人の名を記します。
宛名の部分は、どのような名前を書いても、漂流郵便局内にある私書箱に届きます。
この私書箱は、ピアノ線にとりつけられたブリキの箱で、
台が回転するとさざ波のような音を立てながら、私書箱が漂い始めるのだそう。
このように、回転する私書箱なので、
どの箱に誰のメッセージ手が入っているのかは誰にもわかりません。
こちらが、私書箱の様子ですが、
他にも久保田沙耶さんの作品も存分に堪能していただくことができます。
私書箱の中のメッセージは、
漂流郵便局を訪れた人であればだれでも読めるようになっていて、
誰かが目にするまで、この場所で漂い続けるのだそうです。
そしてもし、偶然にも自分宛てのメッセージだと確信できる葉書き見つけたのなら、
持ち帰ることも可能なのだそう。
局内には、久保田沙耶さんが制作したオブジェが展示してある他、
瀬戸内海から流れ着いた漂着物が展示されることもあるのだそう。
ガラス片や貝殻などもアート作品として私たちの目の前に現れます。
夜間に開局する日は、「惑星儀」と呼ばれる光りを放つ作品が展示され、
幻想的な光景も見ることができるのだそう。
こんなにも幻想的な光景を目の当たりにしたら尚更、
この場所が現実世界なのか異世界との狭間なのか、
はたまた異世界なのか、自分自身も時空を漂っているような気分になりそうですね。
漂流郵便局には様々な人の胸の内の想いが届けられています。
あなたには、伝えられない想いがありますか?
伝えられずに悔やんでいる想いはありあすか?
どのような想い静かに預かり、保管してくれる「漂流郵便局」。
紙に書く行為は神に通じるなどと申します。
解き放った思いは巡り巡って届けたい相手へ届くのかもしれません。
今回は美術館を飛び出して感じる
現代美術家・久保田沙耶さんの大きなアート作品、「漂流博物館」をご紹介しました。
あなたに、解き放ちたい想いはありますか?
■音が出ますので閲覧環境にご注意下さい。
動画出典:漂流郵便局HPより
※開局日や開局時間帯が決まっていますので香川県へ足を運ばれる際には、漂流郵便局HP内での確認が必要です。葉書きに書いたメッセージの著作権は「漂流郵便局」こと制作者久保田沙耶さんに譲渡することになります。そして、最後にもう一度繰り返しますが、「漂流郵便局」はアート作品です。日本郵便との関連はありませんのでご注意下さいませ。その他詳細も漂流郵便局HPをご確認下さいませ。
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