鳥のさえずりのアラームを止め、しばらく微睡んでいたある日の朝。
脳内にぼんやりと浮かぶ夢の残像、太陽のモチーフの正体が気になり、
ベッドを抜け出し画集や写真集などをペラペラと捲っていた。
どこかで目にしたことがあるモチーフであることには間違いないのだけれど、
どうしても思い出せないまま数日が過ぎた。
太陽モチーフのことも忘れ過ごしていると、その太陽はポストカードとなり再び私の目の前に現れた。
「思い出すの、あきらめるなよ」そのような声が聞こえてきそうで思わず笑ってしまった。
そうそう、これ、これ。その太陽の正体は、ベルサイユ宮殿の門に施された太陽だった。
すっかり忘れていたくせに、胸のつかえが取れたようなスッキリとした気分。
ベルサイユ宮殿と言えば、ルイ14世が建てた宮殿なのだけれど、
フランスがファッションの国と言われるようになったキッカケは彼だと言われている。
必要に迫られて、フランスで初めてかつらをかぶったと言われるルイ13世。
そのかつらをファッションとして広めたのはルイ14世、彼だ。
だから、芸術家たちの肖像画を見れば一目瞭然。
彼と時代を同じくして生きた著名人たちの肖像画の多くは、ふさふさでボリューム満点ヘアーをしている。
あの時代の人々は髪の毛がふさふさだったのね、と思ってしまいそうになるけれど、
皆がふさふさだったのではなく、あのような「かつら」が当時の流行だったのだ。
更に、フランスで一番イケメンだと言われていたルイ15世は、
当時の流行であった白髪をキリッときめている肖像画が残されている。
白髪と言っても今のような技術は無い時代、
彼らはどのようにして白髪を楽しんでいたのかというと、
小麦粉を頭にはたいて白くしていたのだとか。
そして、小麦粉ヘアーが流行すると宮殿内は小麦粉にまみれ、足元が悪くなってしまったようで、
宮殿の床材は大理石から木へと変えられたのだ。
もし、この時代の絵画や肖像画を目にする機会があれば、
髪の毛の色と床材を見て、「あ、この人は小麦粉で髪の毛を白くしていたのね」
という視点で鑑賞するのも良いし、
髪の毛が白く、床材が木であったらならば、ルイ15世の時代かしら?
という視点から鑑賞するのも面白いのではないだろうか。
ファッションには少しの我慢が必要だと言われることがあるけれど、
それを身をもって実践していた彼らのことは、
こうして、様々な書物や絵画、肖像画からも垣間見ることができるのだ。
もちろん、女性陣だって負けてはいない。
ヘアアレンジのポンパドールは、
「私が支配する時代がきたわ」と自ら言い放ったというエピソードでもお馴染みの
ルイ15世の公妾(愛人)であったポンパドゥール夫人からきている。
そして、今春注目カラーのピンクだけれども、
彼女もピンクをこよなく愛しており、彼女が特に気に入っていたピンクは、
ポンパドールピンクと呼ばれるようになった。
幸せのレシピ集でも時々登場する、
ルイ16世の王妃マリー・アントワネットは皆さんご存知の通り。
さすがファッションの国と言われているだけあり、話題には困らないのだけれど、
それ以上に彼らが持つエピソードや壮絶な人生、時代背景も興味深く面白いのです。
その辺りは、また機会がありましたら少しずつお話させていただくことにして、
旬カラーのひとつであるピンクを目にされました際には、
ポンパドゥール夫人や今回のお話のことなどをチラリと思い出していただけましたら嬉しいです。
いつも、足を運んでくださっている皆様、ありがとうございます。
本日も皆さんに優しい春風が吹きますように☆彡
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